正しいシャンプーの仕方、正しい頭皮のケアは、男性にとってはけっこう大事だ。
髪の毛が外見に与える影響は大きいので、「なるべく維持したい」と考える人が多数派だろう。
特に男性は、薄毛になったり、白髪になったりするのが、女性より早い傾向にある。
髪を維持する上で大事なのは、髪が生える土壌である「頭皮(スカルプ)」をケアすること。
今回は、頭皮ケアのための「正しいシャンプーの頻度」と「正しいシャンプーのやり方」について解説する。
「どういう理屈か?」を重視して、なるべくわかりやすく書くように努力しているので、頭皮ケアに興味のある人はぜひ読んでいってほしい。
目次
そもそもシャンプーの意味は?どういう成分が入っているの?
シャンプーの主成分は「界面活性剤」。これは石鹸や洗剤でも同じ。
「界面活性剤」は、簡単に言うと、水と油を結びつける作用を持つもの。
水と油は、通常なら混ざり合わないのだけど、界面活性剤を使うと混ざる。
水で洗っても落ちない汚れは、基本的に「油分」が混じっている。人間の表皮も肌を守るために油分を分泌する。表皮の汚れは、油分とくっついた状態なので、水洗いだけでは落ちにくい。
石鹸やシャンプーなどの「界面活性剤」は、油分に付着した汚れを落とすことで、肌を清潔に保つ。
これは人類史上の画期的な発明で、例えば後発開発途上国(貧困国)では、まずは「石鹸で手を洗う習慣」を根付かせることが重要だと言う。それだけでも感染症になる者が大きく減るらしい。
「界面活性剤」によって油分を洗い流し、皮膚を清潔に保つことは、文明社会における基本なのだ!
しかし、頭皮ケアにおいて重要なのは、「肌を清潔にしておくことは良いことだが、だからといってシャンプーが肌に良いわけではない」という考え方。
この話が、「湯シャン推奨派」や「シャンプーが髪に悪い説」に繋がる。
「湯シャン」が良いって本当?シャンプーは髪に悪い説について解説
「湯シャン」とは、シャンプーを使わずにお湯だけで髪を洗うことを言う。
最初に言っておきたいが、これを読んでいる人に対して、「湯シャン」を推奨したいわけではない。
ただ、「湯シャンのほうがいい」と主張する人たちの「理屈」の部分は、シャンプーの使い方と頭皮ケアにおいてけっこう大事な話なので、それを解説したい。
シャンプーは、界面活性剤によって油ごと汚れを洗い流すのが目的だが、人間の肌から分泌される油は、皮膚を保護するためのものでもある。その油を頻繁に洗い流してしまうのは、むしろ肌や頭皮にとってマイナスの影響を与える……というのが湯シャン派の主張。
これは、別に間違っていない。
確かに、分泌された油分を洗い流してしまうのは、頭皮にとって良いことではない。
一方で、不潔なままにしておくことも頭皮にとっては良くない。皮脂が溜まったままだと、常在菌などが繁殖し、いわゆる「不潔」という状態になる。
つまり、「シャンプーで油分を洗い流すのは頭皮に良くないけど、洗わずに不潔な状態でいるよりマシなので、1日1回シャンプーをする」というのが、世間一般の常識的な考え方。
それに対して、「1日1回のシャンプーは多すぎる」というのが、湯シャン派の基本的な主張(だと思う)。
湯シャンを推奨する人にも、「シャンプーは1週間に3回くらいでいい」みたいな穏健派から、「シャンプーはダメ!どうしても洗いたいときは石鹸!」みたいな過激派まで、幅がある。
実際のところどうなのかというと、個人の体質による。
「湯シャン」のほうが調子がいい、という人は実際にいるだろうし、その人が嘘をついているわけではないだろう。
もともと頭皮が乾燥しやすいタイプ、油分があまり分泌されないタイプの人は、1日1回のシャンプーだと、たしかに多すぎるかもしれない。
逆に、1日髪を洗わないだけでベタベタになるようなアブラ体質の人は、1日1回ちゃんとシャンプーしたほうがいい。あるいは、毛穴まで洗える洗浄力の高いシャンプーで洗ったほうがいい場合もある。
これについては、個人差があるものなので、万人に当てはまる正解はない。
ただ、基本的には、「1日1回のシャンプー」で特に問題はない場合が多い。
「洗いすぎ」はありがちなミス!シャンプーの成分は肌に浸透しない!
1日1回で基本的にはOKだが、1日2回以上のシャンプーとなると、さすがに洗いすぎで、頭皮にも髪にも良くない可能性がある。
男性で多いのが、朝シャンをしてから、ワックスなどで髪をセットし、夜にそれを洗い流すタイプ。このとき、朝と夜に2回シャンプーをするのは「やりすぎ」なので、朝はお湯で洗うのみにしたほうがいいだろう。
あと、ありがちなミスは、シャンプーするほど髪と頭皮に良いと思って、頻繁に洗う場合。これは普通に頭皮に悪いのでやめよう!
シャンプーの広告宣伝は、「保湿」とか「潤い成分」という言葉が使われることが多い。消費者にミスリードさせるようなイメージを与えようとするものがあるので、注意したい。
シャンプーには、頭皮に浸透するような成分は含まれていない。
シャンプーの役割は、「洗い流して清潔にすること」であって、「保湿すること」や「成分を浸透させること」ではない。
そもそも日本では、肌に浸透して作用するような成分を、市販品として売ってはいけない。(これについて、「男の美容で最低限やるべきことは「肌の保湿」である」で解説しているので、気になる方は以下のページを参考。)

頭皮も「肌」であり、「頭皮ケア」は「スキンケア」と基本的には同じで、やるべきことは「保湿」だ。
たしかに、シャンプーには保湿成分が含まれている。
しかし、そもそも「洗い流すこと」と「保湿すること」は、原理的に正反対のものであり、シャンプーを使うのは「清潔にする」ためであって、「保湿する」ためではない。
シャンプーに配合されている保湿成分の意味は、「油分を洗い流すのは頭皮や髪にとって良くないので、埋め合わせのために保湿成分を配合しておくよ」みたいな感じ。結局のところ油分を洗い流しているわけで、差し引きで言えば、「保湿にとっては明確マイナス」だ。
あくまでシャンプーの目的は「保湿」ではなく「洗浄」であり、どれだけ保湿に配慮したシャンプーであっても、それはあくまで「マイナスぶんを埋め合わせようとする」のためのもの。
どんなに良いシャンプーを使っても、洗いすぎは、頭皮にとって良くない。
シャンプーについては、成分解析サイトなどもたくさんあり、普段から使い続けるものなだけにこだわっている人は多いようだ。
しかし、シャンプーにできるのは「汚れの洗浄」と「匂いを付ける」くらいで、それ以上のことは基本的にはない。
「良いシャンプー」は、「しっかり洗えるけど髪や頭皮のダメージが比較的少ない」というもので、何らかの成分が浸透するみたいなプラスの作用はない。
男性にとって、頭皮の保湿は重要だが、シャンプーの保湿成分にこだわるよりも、シャンプーしてから頭皮保湿用のローションを使うほうが、ずっと楽だしコスパが良い。
ちなみに、「育毛剤」も、頭皮を保湿する役割のあるものだ。(詳しくは「ハゲに育毛剤は意味がない!薄毛対策コンプレックス商法が酷い理由について解説」を参考。)
シャンプーの目的は、「汚れを落として清潔にすること」であり、それ以上の効果を期待するのはミスマッチだ。
ただ「清潔にすること」自体はとても重要なので、その部分はシャンプーを使ってしっかりやったほうがいい。
ちょうど良いシャンプーの頻度をどうやって判定するか?
今までの話をまとめると
POINT
- シャンプーの目的は「洗浄」
- 「洗いすぎ」と「洗わなさすぎ」、どちらも良くない
- シャンプーを使う最適な頻度には個人差がある
になる。
基本的には、「1日1回のシャンプー」が、もっとも無難。
ただ、「湯シャンのみ」や「週に2、3回程度のシャンプー」のほうが、髪の調子が良くなるという人もいる。
これについては、自分の髪や頭皮と相談して、調子を見ながら、シャンプーの回数を増やしたり減らしたりしてみるといい。
なお、男性用のシャンプーは、油を洗い流す洗浄力の高いタイプのものが多い。そういうときは、シャンプーの頻度を落とす前に、洗浄力が低めの女性用シャンプーや、アミノ酸系シャンプーに変えてみるといい。
おすすめのメンズシャンプーについては別に書いているので、よければ参考にしていってほしい。

また、「フケ」は、頭皮の状態を判定する指標になり得る。
油分が過剰だから出るフケはべっとりしていて、頭皮の乾燥によるフケはパサパサしている。
- 乾燥したフケが出る人は、「洗いすぎ」を疑う
- 湿ったフケが出る人は、「洗わなさすぎ」を疑う
というのが、ひとつの判定基準になる。(ただ、体質によってどうしてもフケが出てしまう人もいるので、フケについてはそこまで過敏にならないようにしよう)
正しいシャンプーのやり方
シャンプーを使うときに注意すべきは、頭皮を傷つけないようにすること。つまり、爪を立てて強く洗ったりしてはいけない。
当たり前だけど、爪でひっかくようにゴシゴシ洗って、頭皮に良いわけがない。
「指の腹」か、「関節を曲げた指の外側」を使って、シャンプーを泡立てて洗う。
メンズの正しいシャンプーのやり方に関しては、美容師が解説しているユーチューブ動画があるので、それを見えるといい。
【これが正しい洗い方!!】極まるメンズシャンプー徹底講座!!
この動画は、わかりやすくて素晴らしい内容だが、「毎日ここまで丁寧にやるか?」という問題もある。
もちろん、可能ならば、紹介した動画のように5〜10分くらいの時間をかけて、丁寧にシャンプーをするのが望ましい。
ただ、本職のプロが丁寧な解説をするのは当たり前だが、一般人はそこまでシャンプーに労力を割く必要はないと思う。
そんなに真面目に考えず、ようは「油や汚れを洗い流しているだけ」なので、「ちゃんと全体の汚れを落として、頭皮を強く擦りすぎない」くらいの基準を満たせば、ささっと済ませてしまっても問題ないだろう。
シャンプーに関して言えば、頭皮洗浄用のシャンプーブラシを使うと、髪を洗うのが楽になる。
「シャンプーブラシ」は、指よりも柔らかい突起がついたブラシ。
薬局やスーパーとかにも売っているバス用品で、頭皮を傷つける心配がなく、あまり丁寧にやる気がしないときも、手早くゴシゴシ洗ってしまえるのが良い。
安いやつは600円程度で変える。下手に高価なシャンプーを買うよりも、シャンプーブラシのような、「日々のケアを楽にしてくれる用品」に投資をしたほうがコスパが良い。
以上、「頭皮ケアのための正しいシャンプーのやり方を解説」を解説してきた。
ちなみに、コンディショナーやリンスなどについては解説していないが、コンディショナーはそもそも髪につけるもので、「頭皮ケア」とはあまり関係ない。
男性にとって優先度が高いのは、「髪の毛のケア」よりも「頭皮のケア」だ。
男性の「ヘアケア(コンディショナーやトリートメント)」については、別の記事でも書いている。この記事の内容が参考になったのであれば、以下も参考になると思う。

また、当サイトでは、メンズ美容について幅広く、「おすすめの方法まとめ」や「美容アイテムおすすめランキング」を書いているので、よければ以下も参考にしていってほしい。

