メンズスキンケアの初心者向けの内容を、前回の記事(男の美容で最低限やるべきことは「肌の保湿」である)で解説した。

「寝る前に保湿クリームを塗る」が、超簡単にできるコスパ最強の美容法であるというのが、前回の記事の結論だ。
この記事では、より踏み込んで、100点満点のスキンケアを実現する方法を解説する。
少し説明が長くなるが、「仕組み」と「理屈」に重きを置いて解説しているので、ちゃんと理解して美容をやりたい人向けの内容となっている。
洗顔、美容液、パック、湿度、紫外線、食事……といった順番で解説していく。
目次
洗顔剤について(洗い過ぎはむしろ逆効果?)
スキンケアにおいて重要なのは
- 「清潔」にすること
- 「保湿」すること
だ。
顔の肌を清潔にする上で、洗顔剤を使う人は多い。一方で、「洗顔剤はむしろ逆効果」という主張もある。
「洗顔剤が逆効果」というのは、一体どういう理屈なのか?
まず、洗顔剤や石鹸の主な成分は、「界面活性剤」といって、水と油を結びつける性質を持つもの。
肌の汚れや、肌の上で繁殖する雑菌は、皮脂(油分)にくっついているので、水だけで洗っても落ちない。そのため、洗顔剤や石鹸などの「界面活性剤」を使って洗浄する。
だが、皮脂は、肌を乾燥などから守る役割もある。
「界面活性剤」で皮脂を洗い落とすことは、顔を乾燥から守るための油を落としてしまうことにもなる。
「洗顔剤で顔を洗い過ぎると、油分がなくなって乾燥しやすくなり、むしろ肌にとって良くない」という理屈だ。(シャンプーは髪に悪い、などもこれと同じ理論。詳しくは湯シャンはあり?頭皮ケアのための正しいシャンプーの使い方を解説、という記事で解説している)
実際のところ、油分の落としすぎは肌に良くない。そのため、洗顔剤を使ったあとは、美容液、乳液、保湿クリームなどを使って、顔が乾燥しないように保湿するのが基本。
「界面活性剤による洗浄」は、頻繁に行うと逆効果なので、基本は1日1回、多くても1日2回までにしたい。そして、「洗浄」したあとは、すぐに「保湿」すると良い。
洗顔剤には、より細かい毛穴などの汚れを落とすために、「スクラブ(細かい粒子)」や「泥」などが配合されたものがある。これが良いのか悪いのかは、その人の肌質による。
洗顔剤を使わずに、お湯だけで洗うのがベストの人もいれば、スクラブ系の洗顔剤で洗ったほうが良いという人もいる。
これに関しては個人差があるので、使ってみて確かめるしかない。
おすすめのやり方は、2日に1回など、低頻度で洗顔剤を使ってみること。それで様子を見ながら、「使わなくても別にいい」のか、「もっと頻繁に使ったほうがいい」のかは、自分の肌の調子と相談して決めよう。
洗顔剤について、個人的におすすめを紹介してみる。
安価かつ、プッシュタイプで使いやすい。無香料、弱酸性の優しいタイプの洗顔料。クセがなく万人向け。
高級タイプの洗顔剤の中ではコスパが良い。「洗浄力が高く、かつ肌へのダメージが比較的少ない」のが、高品質であるかどうかの基準。
言わずと知れた有名ブランド。女性のみならず男性にとっても良い製品。
男性向けの洗顔剤は、「スクラブでごっそり油を落とす」+「メンソールなどスースーする清涼剤を配合」といったものがすごく多い。
体育会系の男性や、汚れやすい外仕事をする男性には、この手のものが好まれるのかもしれないが、肌にいいかと言われれば、あまり良くない。
ごっそり油を落としてスースーすると、「綺麗になった感」はあるが、長期的には肌にとってマイナスだ。
男性向けの洗顔剤よりも、女性も使うタイプの洗顔剤のほうが、ちゃんとした製品が多い。
メンズ用の洗顔料は、意識の低い男性向けに作られていることが多いので、あまりおすすめできない。メンズだからと言って、メンズ用の洗顔料を買うのがベストな選択肢とは限らない。
POINT
- スキンケアにおいて、肌を清潔にしておくことはとても重要
- 洗顔剤は綺麗に洗えるが、そのぶん油を落としてしまうので、洗顔のあとは保湿する
- 洗浄力の高いスクラブ系を使うべきか、優しいタイプの洗顔剤か、お湯だけでいいのかは、その人の肌質による。低頻度で使いながら、自分の肌の調子を見て調整していくやり方がおすすめ
化粧水、美容液、乳液について(つけっぱなしには注意!)
スキンケア用品には、様々な種類、様々な名称のものがある。
ただ、「化粧水、美容液、乳液、それぞれの違いは何か?」について、実は美容ガチ勢の女子でもうまく説明できないだろう。そもそも定義が曖昧なものだからだ。
化粧水、美容液、乳液それぞれに共通するのは、「保湿を目的に使う液体」であること。どれも主な目的は「保湿」だ。
また、「化粧水」と「美容液」は、ほとんど同じ意味で使われることが多いので、以降では「化粧水」に統一する。
一般的に、スキンケア用品は、
- 化粧水
- 乳液
- 保湿ジェル(保湿クリーム)
の順番で、保湿力が高くなる。
前の記事(男の美容で最低限やるべきことは「肌の保湿」である)で述べたが、「化粧水」や「乳液」は、保湿力は低めだが、ジェルやクリームほどベタつかないのが特徴。
化粧水、乳液は、化粧をする前に肌を整える目的で使ったり、出勤前などのタイミングで使うことができる。
また、スキンケアを丁寧にやるのであれば、「化粧水→乳液→保湿クリーム」の順番で使う。
ただ、保湿力が高いのは「保湿クリーム」なので、「化粧水→乳液」の過程は、面倒ならカットしてしまってもいいと思う。
男性にとって、「化粧水、乳液」のメリットは、出勤前などにも使えることだ。
朝の洗顔後や、シェービングの後などが、化粧水や乳液を主に使うタイミングになる。
自分も使っているおすすめの化粧水、乳液を紹介する。
安くて質が高い。化粧水は「ほとんど水」なので、あんまり高いやつ買ってもコスパが悪いと思う。
香り、質感の良い乳液。出勤前などに使う用。
注意点だが、化粧水や乳液は、「肌に残そう」とはせずに、しっかり拭き取ろう。(それか、拭き取る必要がないくらいまで薄く延ばして塗ろう)
肌は、濡れたままにしておくと、水分が蒸発して乾燥が進む。
化粧水や乳液には、保湿効果があるが、「ほとんどの成分が水」なので、拭き取らずに「つけっぱなし」にした場合、逆に乾燥してしまう。
「保湿クリーム」は「塗りっぱなし」だが、「美容液、乳液」は「ちゃんと拭き取るもの」という違いを押さえておこう。
POINT
- 化粧水、美容液、乳液、保湿クリームは、どれも「保湿」が目的
- 一般的に、化粧水(美容液)→乳液→保湿クリームの順に保湿効果が高い
- 化粧水、乳液は、ベタつかないので、化粧前や出勤前に使うことができるのが利点
- 化粧水、乳液を使ったあとは、肌を濡れたままにしないよう拭き取らなければならない
顔パック(フェイスマスク)について
「化粧水→乳液→保湿クリーム」の順に保湿効果が強いと言ったが、それ以上の保湿効果を持つものに、顔パック(フェイスマスク)がある。
見た目はバカバカしいが、保湿効果はかなり高く、合理的なスキンケア用品だ!
しっかり保湿したいときは、男性でも使ってみるといいだろう。
男性用の少し大きいタイプのものもあるし、けっこう伸びるので女性用のものでも普通に使える。
「シカデイリーのフェイスマスク」は、高性能かつ1枚100円以下の安さなのでおすすめ。
顔パックは保湿効果が高い。とはいえ、何らかの成分が浸透するわけでもなく、結局はただの「保湿」だ。
保湿クリームでも十分な保湿効果があるので、顔パックをそこまで特別視することはない。
スキンケアは、継続的なケアが何より大事。2日に1回顔パックをするよりも、毎日保湿クリームを使ったほうが効果がある。
顔パックは効果的だが、それを特別視して、「昨日は顔パックをしたから、今日はサボってもいいか」とならないようにしたい。
顔カップを特別なものと思わずに、「毎日サボらずに保湿する」ことを意識したい。
部屋の湿度を上げる(加湿器について)
肌の保湿には、「部屋の湿度」という環境を変えるアプローチもある。
スキンケアについて普段から意識している人は、湿度の高い梅雨や夏よりも、乾燥している冬のほうが明らかに肌の調子が悪くなることを実感しているだろう。
部屋の湿度を高くしておくことは、当然ながらスキンケアにとって良いことだ。
部屋の湿度を上げるために、洗濯物を部屋干ししたり、水を張った皿を置くなどの古くからの方法があるが、そんなことするなら「加湿器」を買ったほうがいい。
加湿器は、水を入れると空中に水滴を放出してくれる家電。
写真は「Yokizu」の加湿器で、最安値のものだが、ちゃんと機能してくれる。
加湿器の価格はピンキリだが、安いものでも、「出す水滴が荒くて床がべちゃべちゃになる」なんてことはまずない。
家族向けの広いリビングに置くなら、それなりの容量の加湿器のほうがいいが、自分の部屋で使うならば小さめの安いもので十分。
冬場の乾燥する時期は、加湿器の使用を推奨。
紫外線を避ける(飲む日焼け止めには注意)
90年代くらいまでは、日焼けした人が「健康美人」などと言われていたし、「日光浴」なんていう文化もあった。また、ビタミンDの生成のために滴度の日光が必要であることも知られている。
しかし、スキンケアに関して言うなら、紫外線は文句なしに肌に悪い!
近年では、テレビなどの情報でも、紫外線が肌に悪いことは常識になっている。
「紫外線を避けたほうがいい」のは間違いないが、仕事や生活スタイル上、日光を避けることができない人はもちろんいる。その場合は「日焼け止め」を使おう。
がっつり日光を浴びる場合、「日焼け止め」は、「化粧水だけど日焼け止め効果もある」というものではなく、「日焼け止め」効果を第一に考えているものを使ったほうがいい。
なお、「飲む日焼け止め」というものが流行っているが、「飲む日焼け止め」は「塗る日焼け止め」の代用品ではない。
「飲む日焼け止め」を飲んだからといって「塗る日焼け止め」を使わなくていいわけではなく、ふたつは併用するものなのだ。
優先順位としては、
- そもそも紫外線に当たらない
- 布などで紫外線を遮る
- 塗る日焼け止め
- 飲む日焼け止め
になる。(2と3に関しては、順位が逆転するという見方をする人も多い。)
「飲む日焼け止め」には、ちゃんと科学的根拠があるので、効果がないわけではない。だが、「できるだけ紫外線を避ける」「ちゃんと日焼け止めを塗る」ことのほうが優先度はずっと上なので気をつけよう。
「SPF」や「PA」など、日焼け止めの詳しいことに関しては、「日焼け止めの仕組みと正しい塗り方」で解説しているので、以下のページを参考。

食事、サプリメント
今まで解説してきたのは、「外側のスキンケア」だ。
だが、スキンケアは、「外側」よりも「内側」のほうが、影響が大きい。
当然ながら、肌質は、「何を食べるか?」に最も大きく左右される。
基本的に、「肌に良い食事」は、「健康に良い食事」とほとんどイコールなので、どうせなら、スキンケアのみにこだわらず、全般的に健康に良い食事を目指すのが良い。
「肌に良い食事」のためには、タンパク質、オメガ3脂肪酸、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどのファイトケミカル、が重要になる。
食事に関しては、簡単には書ききれないので、別の記事にまとめている。詳しくは「美容に良い食べ物おすすめランキング」を参考にしてほしい。

また、面白みのない話になってしまうけど、「良いものをたくさん摂取する」よりも、「糖質や脂質を制限する」ほうが、ずっと美容成果が出やすい。
普段からものを食べずに極端に痩せているような人でない限り、糖質、脂質の摂取量を減らせば、肌の調子は良くなるだろう。
美肌のためには、「節制」が一番大事なのだ。
当サイトでは、ダイエットやファスティングに関しても、詳しい解説記事を書いているので、以下を参考にしてほしい。



明確な肌トラブルがあるなら迷わず皮膚科に行け!
「何となく肌が汚いので、つるつるの肌を目指したい」といった漠然としたものではなく、ひどい肌荒れ、ニキビ、アトピーなど、「○○で悩んでるんです」と言えるような明確なコンプレックスがある場合は、面倒臭がらずに皮膚科に行こう!
病院に行くと、3割負担で薬品を処方してもらえるので、「初診料が高いのと、行くのが面倒くさい」という点を除けば、メリットしかない。
肌の悩みに限らず、身体的な悩みがある場合は、市販品に頼ろうとせずに病院に行ったほうがいい。本当に効果のある薬品は医者にしか処方が許されないし、国民健康保険が適用されるなら、3割の負担で済む。自分の問題が保険適用範囲内なのか確認するためだけでも、病院に行く価値はある。
7割引きになるんだから、薬局で市販品を買うよりも安く済む場合が多い。
「健康保険料を払ってない」などの事情でもない限り、病院に行くのがベストな選択肢だ!
以上、「男性向けスキンケアの、より美を追求するやり方」について解説してきた。
ここで紹介したのは、「プラスαとして、できればやったほうがいい」というもの。
前回の記事で解説したが、細かいことをやるよりも、「美容クリームでの保湿を毎日サボらずにやる」ほうがずっと重要度が上なので、その優先順位は間違えないようにしてほしい。

当サイトでは、スキンケア以外にも、メンズ美容全般について、詳しく解説している。この記事の内容が参考になった人は、以下のページも見ていってほしい。

