「香水をつける男性ってどうなの?」という話をしていきたい。
まず、香水は基本的に嫌われる。しかし、香水が有用な状況もある。
今回は
- なぜ香水が嫌われるのか?
- 香水を使うのが有効な場面はどこか?
について、理屈(ロジック)を重視して解説したい。
香水を使うことを検討している男性には、参考になる内容だと思う。
なぜ香水が嫌われるのか?
理由は単純で、「ニオイ」は加害だから。
香水であれ体臭であれ、「ニオイ」は、「相手に嗅ぐことを強制する」という性質を持つ。
ニオイは、近づくと鼻に入ってきて、避けることができない。物理的に距離を取ればいいが、仕事中や電車の中など、避けられない状況もある。
また、ニオイは指摘しにくいデリケートなものでもあるので、「それが不快です」と相手に言うのが難しい。
香水は一般的に、好む人の多い「良い匂い」だ。しかし、「強制的に嗅がされる側にとっては、強制的に嗅がされること自体が不快」なので、ニオイの好みはそこまで関係ない。
基本的に、「積極的にニオイを発することは他者に対して失礼である」と考えたほうがいい。体臭は仕方のない側面もあるが、香水は自発的にやっていることなので言い訳がきかない。
詳しくは後述するが、関係性によって、ニオイから受ける印象は変化する。香水の匂いが良い効果をもたらしたり、良い思い出となって残ることはある。しかしそれは、「香水が好かれているのではなく、その人が好かれている」というのが実際のところ。
例えば女性は、香水をつけるイメージがあるが、それは「香水に価値がある」のではなく「女性に価値がある」から許されているだけ。(美しく若い女性であっても、キツい香水は基本的につけないほうがいい)
男性は、そもそもが女性と違って警戒されやすく嫌われやすい存在なので、香水によって「嫌われる」ことのほうがずっと多い。
体臭を香水で消すことについて
香水は、もともとニオイをかき消すためのものとして普及した経緯がある。
実際に、体臭など不快なニオイを、より強い香水のニオイで上書きすることはできる。
ただ、香水で体臭の上書きがされていた時代は、現代とは衛生基準がまったく違う。石鹸やシャワーが普及するまでは、身体を洗うのが週に1回とか、そこらへんに人糞を捨てていたりとか、そういう環境だったので、香水によるニオイの上書きは合理的だった。
だが、現代的な衛生基準においては、香水によってニオイをかき消す合理性は乏しい。
毎日シャワーを浴びて、服をちゃんと洗濯するだけで、そこまで酷い臭いを発することはない。
清潔にした上で、汗臭、腋臭、加齢臭などの体臭が気になる場合は、もっと合理的な選択肢があり、具体的には「無香性のデオドラントスプレー」と「消臭用の柔軟剤」だ。
「デオドラントスプレー」をワキと首の後ろに吹きかけ、着る服に「消臭用の柔軟剤」を使えば、体臭対策としては十分だろう。
基本的には無臭が良く、「近づくと清潔感のある柔軟剤の匂いがほのかにする」くらいが、「万人受けしやすいベストの状態」だろう。
香水でも、原理的には体臭を打ち消すことが可能だが、推奨はできない。
ニオイは、確かに上から被せることができるのだが、ニオイのもとが消えるわけではないので、より強いニオイを必要とする。最悪の場合、もとのニオイと混ざってより酷い悪臭になってしまう。
ニオイの特徴として、「客観視が難しい」というのがある。
鼻が慣れてしまうので、自分のニオイは客観視に把握することができず、さらにニオイは人からも指摘されにくいので、本人が気づかないまま酷いことになってしまうこともある。
「香水でニオイをかき消す」のは、衛生基準の高い現代においては推奨できる方法ではなく、「消臭用のスプレー」でニオイのもとを抑え、「消臭用の柔軟剤」のほのかなニオイを被せるのがベスト。
香水は、印象や高感度を、良い方向にも悪い方向にもブーストする
「香水が思い出させる〜♪」と歌う、瑛人の「香水」という曲が紅白歌合戦に出て話題になったように、香水が良い印象を与えたり、良い思い出となって記憶に残ることもある。
香水の「良い匂い」が、効果的に機能する状況があることも事実だ。
「ニオイ」の心理的な特徴を簡単に説明すると、「印象や好感度を、良い方向にも悪い方向にもブーストする」というのがある。
- もともと良い印象を持たれている人は、香水によってさらに好かれる
- もともと悪い印象を持たれている人は、香水によってさらに嫌われる
というのが「ニオイ」の特徴だ。
もともと良い印象を抱いていた場合、「この人のニオイめっちゃ好き!ステキ!」となるし、逆の場合、「うわキモっ!こいつ香水つけててマジで近寄りたくないんだけど!」となる。
基本的に香水には、もともとの魅力をブーストさせる効果はあっても、「魅力がない状態から魅力を作り出す」効果はない。むしろ、嫌われている人にとっては、ますます嫌われる要因になる。
「好きでも嫌いでもないニュートラルな状態」から香水がどういう影響を与えるかだが、「飲食店でたまたま隣に座った他人から香水のニオイが香ってきた場合にどう思うか?」を考えてみればいい。それが心地よく思う人はごく少数だろう。
上でも述べたように、香水(他人に強制的に強いニオイを嗅がせること)は加害であり、基本的には嫌われるものだ。
女性の香水がポジティブに捉えられやすいのは、女性そのものが好かれやすいからで、香水に魅力があるからではない。
メンズ香水が効果的な場合!「短期的な関係」なら香水は有効に使える
「印象や好感度を、良い方向にも悪い方向にもブーストする」のが香水の特徴だ。
男性にとって、香水を有効に使えるのは、「短期間ですごく良い印象を持たれたいとき」だ。
具体的には
- セールス、営業
- ナンパ
- ワンナイト目的の出会い
- ホストクラブ
などが挙げられる。
「商品を売る」「身体を許してもらう」「ボトルを入れてもらう」など、「標準的に良い印象を持ってもらう」のではなく、「すごく良い印象を持ってもらう」必要があるとき、香水を使うのは合理的だ。
「ヒットする相手が見つかるまで、たくさんの人に嫌われるのが前提で数を打つ」場合は、香水は武器になる。
香水にメリットがあるのは「短期的に高感度をブーストしたい場合」で、「長期的な付き合い」になると香水は、信用を落としたり、嫌われる要因になるほうが多い。
長期的な付き合いの場合、人間には好感度の波があるので、良くない場合に「香水」がそれを強調しやすい(文字通り「鼻につく」のだ!)
営業職でも、買わせたら終わりの短期セールスではなく、長期的な付き合いが重要になる場合は、香水はやめたほうがいいだろう。
恋愛関係においても、すでに長く付き合っているカップルの場合、香水をつけるようになっても、それで印象が良くなることはあまりない。
「数を打つ(大多数に嫌われる)のが前提で、短期的に強く好かれたい場合」に限っては、香水を使うメリットがある。
以上、「香水をつける男性が嫌われる理由と、メンズ香水を有効に使う方法」について解説してきた。
この記事を読んで、著者(エヌシー)は、あまり香水に良い印象を持っていないのかと思った人は多いかもしれないが、別にそんなことはない。デパートやヴィレヴァンの香水コーナーがあったらついニオイを嗅いじゃう。
「香り」は、趣味・嗜好品としては奥が深く、文化的なものだと思う。
ただ、ニオイというものの特性上、「他人に自分の好きなニオイを強制的に嗅がせること」を、オシャレとして推奨するべきではないという話。