「体臭がある」と思われたい人などいないだろう。
「くさい」だけで印象が良くないことは言うまでもなく、鼻はニオイに慣れてしまうので、自分の体臭は客観的に把握するのが難しい。
「ニオイ」は、相手側に強制的に与えてしまう性質のもので、デリケートなことゆえに指摘もされにくい。
エチケットとして、「体臭ケア」は、完璧を目指す必要がある。
今回は、「完璧な体臭対策」のために
- 体臭の原因
- 具体的な体臭対策
- 体臭が減る生活習慣
- 体臭サプリをおすすめしない理由
を解説する。
体臭の原因を解説!汗や皮脂が臭う
体臭のよくある勘違いとして、「汗そのものが臭う」「肌から直接ニオイが出ている」というのがある。
これは「間違った認識」だ!
実は、「汗」や「皮脂」自体は無臭なのだけど、皮膚の上の「汗」や「皮脂」を長く放置してしまった結果として、イヤなニオイが発生する。
ヒトは、熱を排出するための「汗」や、乾燥から守るための「皮脂」が、常に皮膚から出されている状態だ。「汗」や「皮脂」自体は無臭だが、「汗」や「皮脂」が皮膚に付着したまま時間が経つと、常在細菌が繁殖したり、皮脂が酸化して、ニオイが発生する。
ようするに、不潔にする(汗や皮脂を長く放置する)ことによってニオイが発生するのだ。
「カラダを長く洗わないままだと臭くなる」という当たり前の話!
逆に言うと、「汗」と「皮脂」を放置せず、マメに洗ったり拭き取ったりすれば、体臭は防げる。(汗や皮脂そのものが臭いわけではないのだから!)
体臭の原因についてより詳しく知りたいなら、マンダム「男のにおい総研」の「においの基礎知識 男性体臭のメカニズムと対処方法」などのページに、部位ごとの図解などわかりやすい情報が乗っているのでおすすめ。
中年男性の体臭が特に出やすいのは、「頭皮」「首の後ろ」「ワキ」「背中」だ。そこをしっかり洗うことが、まずは大事になる。
また、放置することによる菌の繁殖で臭いが発生するので、「イソプロピルメチルフェノール」など殺菌作用のあるものが含まれた「デオドラント(防臭)用品」によって、菌の繁殖を防ぐのも有効だ。
POINT
- 汗や皮脂は、体臭の原因になるが、それ自体は無臭
- 汗や皮膚を放置すると、細菌の繁殖や皮脂の酸化によって臭いが発生する
- 石鹸やシャンプーで定期的に皮脂を洗い流すことで臭いを防げる
- デオドラント用品で菌の繁殖を防ぐことも体臭対策になる
「体臭の原因」の理解において重要なのは、「体臭は、身体から直接臭うのではなく、皮膚の上に放置した汗や油が、時間経過によってイヤなニオイを発するようになる」という認識だ。
「これをやれば完璧」な体臭対策!具体的なやり方を解説
体臭対策は、以下のことをやれば、「完璧にできている」と言っていいだろう。
POINT
- 毎日、できれば出勤前に、「シャンプー」と「石鹸」を使って頭皮と身体をしっかり洗う
- 定期的に、「ボディペーパー」で、首の後ろ、ワキ、背中を拭く
- 「デオドラント用品」で雑菌の繁殖を防ぐ
- 「部屋干し用の洗剤」で生乾きを防ぐ
- 「消臭用の柔軟剤」でニオイを上書きする
「シャンプー」と「石鹸」
皮脂(油)はお湯だけでは落ちにくいので、「シャンプー」「石鹸」「ボディソープ」などの「界面活性剤(水と油を混ざるようにするもの)」を使って洗う必要がある。
皮脂を洗い流して清潔にすればいいだけのことなので、シャンプーやボディーソープの質は、特にこだわる必要はないと思う。(一応、「メンズシャンプーのおすすめを6つに絞って紹介&解説」という記事も書いているので、よければ参考にしてほしい)
変に高級なものを使ったからといって、そのぶんだけニオイが落ちるわけではない。むしろ、気にすることなく量を使いやすい安価なものがおすすめ。
「ボディペーパー」
汗や皮脂を放置することが体臭の原因なので、「拭き取ること」はシンプルに有効!
頻繁にシャンプーを浴びることができない環境なら、「ボディペーパー(シートタイプのデオドラント用品)」で、ワキや首の後を拭くといい。
「パウダーシート」「ボディペーパー」と名のつくものは、基本的には菌の繁殖を抑えるデオドラント用品なので、コンビニや薬局などに売っている。
「デオドラント用品」
デオドラント用品には、ペーパータイプの他に。「塗るタイプ」と「スプレータイプ」がある。
これらのタイプは、「拭き取る」のではなく、「菌の繁殖を抑制する」。清潔にしたあとに、成分を「ワキ」「背中」「首の後ろ」などにに塗るか、吹きかける。
主に、イソプロピルメチルフェノール(殺菌)、クロルヒドロキシアルミニウム(制汗)の成分が含まれている。
ワキガや脇汗が特に気になる人は、「制汗」を重視した「塗るタイプ」を選び、主に「ワキ」に塗って使うといい。
加齢臭が気になる人は、「殺菌」を重視した「スプレータイプ」を選び、「首の後ろ」や「背中」に吹きかけるといい。
「部屋干し用洗剤」
「身体が臭い」という場合、体臭の他にも、「生乾きの服の臭い」が原因であることはけっこう多い。
というより、「生乾き」のほうが体臭よりもずっと臭うので、より注意すべきは「生乾き」のほう。
濡れた干している間に、雑菌が繁殖して嫌なニオイを放つのが「生乾き」。
湿度の高い夏場や、気温の低い冬場など、一年を通して生乾きのリスクがある。乾燥機能のあるドラム洗濯機を持っているわけではないのなら、雑菌の繁殖を抑えやすい「部屋干し用の洗剤」を使うのがいい。
「消臭用の柔軟剤」
ニオイは、より強いニオイによってかき消すことが可能だ。香水はもともとそういう用途のためにあった。ただ、「香水をつける男性が嫌われる理由と、メンズ香水を有効に使う方法」で書いたが、現代的な衛生基準においては、相手に強いニオイを嗅がせることはマナー違反で、臭いをカバーするために香水を使うのは望ましくない。
また、臭いの混ざり方は複雑で、イヤな臭いを別のニオイでかき消そうとした場合、混ざり合ってより酷い地獄が発生するリスクもある。
被せることでニオイをカバーするなら、「消臭用の柔軟剤」がまず間違いない。
「身体を清潔にし、無香料のデオドラント製品で体臭を抑え、生乾きもケアしている」をキッチリやった上で、「清潔感のある柔軟剤がほのかに香る」のが、万人受けするベストなニオイの状態だろう。
「部屋干し用洗剤」も「消臭用の柔軟剤」も、体臭対策において非常に効果的で、なおかつ安価なので、ぜひ使ってみるといい。
ここまでのことをちゃんとやれば、「体臭対策は完璧」と言ってもいいだろう。
これらをちゃんとやっても、体質的、年齢的に、ニオイが出てしまうこともあるかもしれない。
しかし、ここまで気を使っているのであれば、少なくともエチケットに関しては十分に配慮しているわけで、これ以上をやる必要はない。ニオイについては、成人男性ならば多かれ少なかれあるわけだが、変にコンプレックスを感じる必要はない。
食事などで根本的に体臭を改善するには?
頻繁に洗ったり拭いたり、デオドラント用品を使うのではなく、「根本的に体臭をなくしたい」と考える人は多いかもしれない。
しかし、「風呂に入らないでも臭くならない人間になりたい」というのは、現実的ではない。
先程も言ったように、そもそも「汗」や「皮脂」自体に不快な臭いはなく、それらが皮膚の上に放置される結果として臭いが発生する。いずれにしても、ちゃんと身体を洗い、雑菌が繁殖しないように手間をかけるのは、体臭対策において必須のことなのだ。
ただ、「体臭が発生しやすい体質」というのも、たしかにある。
体質的に、細菌に分解されると悪臭を発しやすい脂肪酸が、汗に多く含まれている人は存在する。
また、基本的に高齢になってくると、「パルミトレイン酸」という脂肪酸が皮脂に増え、それが「加齢臭」の原因になる。
汗や皮脂の量が多いタイプの人は、体臭も発生しやすい。(ちなみに、ワキガや多汗症は保険適用で手術が可能なので、悩んでいる人は皮膚科に行くといい)
「体臭が発生しやすい体質かどうか?」は、遺伝的に決まるものなので、基本的にどうしようもない。
ただ、元の体質自体は変えられなくとも、生活習慣によって、体臭を少なくことは、ある程度は可能だ。
重要なのは「食事」であり、意識することは非常にシンプル。
体臭を抑えるためには、
- 過食を避ける
- 腸内環境を整える
の2点を意識すればいい。
面白みのない話かもしれないが、体臭を抑える上で一番効果的なのは「カロリー制限すること」だ。
また、腸内環境の悪化は体臭の原因になりやすいので、腸内環境を整えることも、体臭を少なくすることに繋がる。
腸内環境については、体臭を抜きにしても、調子が良いに越したことはないので、「食物繊維」と「乳酸菌」を意識した食事を心がけるといいだろう。
野菜をたくさん食べている人は体臭が薄いイメージがあるが、野菜はカロリーが低くて食物繊維が豊富なので、実際に野菜の摂取量が多い人は体臭が少ない傾向にあると思われる。
腸内環境については、「腸活完全ガイド!腸活環境を改善する具体的な方法」という記事を書いているので、詳しく知りたいなら以下のページを参考にしてほしい。

なお、食生活の他には、疲労やストレスが溜まっていると、アンモニアが汗に混ざり、ツンとしたニオイの「疲労臭」が出ると言われている。ただこれに関しては、あまり神経質になっても仕方ない。
また、太っている人ほど、最近の餌になる乳酸を多く含んだ汗が出やすいので、体臭がキツくなりやすい。いずれにしろ、「食事制限(カロリー制限)」が、体臭を減らすための効果的な方法ということになる。
体臭サプリの仕組みと、あまりおすすめしない理由
「体臭サプリ」「臭活サプリ」「エチケットサプリ」といったものが世の中にはある。
主に
- 匂いをつける成分
- 防臭効果のある成分
- 腸内環境を整える成分
が含まれている。
「内服して匂いをつけるとか、本当にそんな効果あるの?」と思うかもしれないが、実際に効果はある。
コーヒーを飲んだあと、おしっこからコーヒーの匂いがした経験のある人もいると思うが、あんな感じで、薔薇の成分を飲むと汗から薔薇っぽい匂いがする。「飲む香水」とか言われたりもする。
「体臭サプリ」には、薔薇、柿、緑茶のエキスや、「シャンピニオン」とかいう防臭効果のあるキノコのエキスや、腸内環境を整えるための食物繊維やオリゴ糖などが入っている。
実際に、体臭を抑えたり、匂いを上書きする効果はあるだろう。
ただ、そもそも汗や皮脂そのものにはあまり匂いがない。
上で繰り返し述べたように、体臭の主な原因は、汗や皮脂を「放置」することにある。
サプリで匂いをやわらげたからといって、それは健康とは関係ないし、「外側を綺麗にする」体臭対策をやらなくてよくなるわけではない。
「体臭サプリ」について、個人的には、「そんなことまでする必要ある?」と思ってしまう。
また、「体臭サプリ」には腸内環境を整える成分が入っているものが多く、たしかに腸内環境を整えるのは大事だが、「体臭サプリ」でそれをやろうとするのは割高だ。
自分は「効果のないサプリメントに騙されないための健康食品おすすめガイド」という記事を書いているが、腸内環境の改善を目指すなら、「青汁」や「乳酸菌(ビフィズス菌)」など、一般的なやり方のほうが、適正な価格で適切な効果を得ることができる。

「体臭サプリ」の効果を否定するつもりはない。
だが
- いずれにしろ「外側を清潔にすることのほうが大事」であることは変わらない
- 香り付けをすることは、健康とは特に関係ない
- 「サプリで匂いをケアする」までやるのは、「エチケット」ではなく「趣味」
- 腸内環境を整えるためのものと考えても、成分に対して価格が割高
という理由で、個人的には「体臭サプリ」をあまりおすすめしない。
もし使うのであれば、成分に対して価格が安い「ドクターデオラボ」のサプリなどがいいのかと思う。
体臭の最小化を目的とすべきではない
冒頭で、「体臭ケアは、完璧を目指す必要がある」と言ったし、実際、「清潔にして、雑菌の繁殖を抑える」ところまでの「外側の体臭ケア」は、完璧にやるのがいいと思う。
だが、「内側の臭いケア」は、追求しすぎると、むしろ良くない。
自分の身体からニオイがしなくなったり、良い香りがするようになると、自分が美しくなった気がするかもしれない。しかし、まったく臭わない身体は、それはそれで不健康だ。
例えば、「たんぱく質」の摂取量を減らすと体臭は減るだろうが、一方で「たんぱく質」は、多くの現代人にとって一番減らすべきではない栄養素だ。
「たんぱく質」は、身体の組織を作り、疲労を回復し、集中力を高め、老化を防いでくれる、非常に重要な栄養素だ。
極端な話、「体臭を減らすのが最優先」なら、動物性たんぱく質を摂取せず、できるだけ低いカロリーで生活すればいいのかもしれないが、当然ながら仕事のパフォーマンスは落ちるだろうし、長期的には身体に悪い。
「たんぱく質の摂取」や「一定のカロリーの摂取」は、体臭ケアよりも優先すべきだ。
「たんぱく質」を摂取すると、腸内環境の悪化や体臭のリスクがあるが、それでも「たんぱく質」は優先して摂取すべきだし、「たんぱく質」の摂取量を維持した上で、腸内環境を整えていくべきなのだ。
そもそも、「体臭がまったくしないおっさん」になったからといって、「誰に需要があるんだ?」という話なので、変な自己満足に拘泥してもいいことがない。
「おっさんは基本的に臭い存在で、だからこそ清潔にしていなければならない」と考えたほうが健全だ。
以上、体臭対策について解説してきた。
当サイトでは、「メンズ美容」や「エチケット関連」の記事も出しているので、よければ以下も参考にしていって欲しい。



