最近は「筋トレ」ブームで、「筋トレすれば人生が変わる!」「女子は筋肉のある男が好き!」など極端なことがよく言われる。
だが、「マッチョが女性にモテる」というのは嘘である。
「筋肉ある人ってどう思う?」と女性に聞くと、「うん、いいと思う」という返答が返ってくるかもしれない。だがこれは空気を読んでそう言っているだけで、実際のところは、「筋肉があるとかないとか、そういうことじゃねーんだよなあ……」と思っている場合が多い。
タレントの小島瑠璃子(こじるり)が、「筋トレの意味が分からない」「ムキムキが個人的にタイプじゃない」と言って炎上したことは記憶に新しいが、こじるりと同じことを思っている女性は多いだろう。
個人的には筋トレは素晴らしいものだと思っているが、だからといって「筋トレをすればモテる」わけではないのだ。むしろ、モテから遠ざかる要因になりうる。
今回は、「なぜ日本人男性は筋トレをしてもモテないのか?」を論理的に解説していく。
目次
「肉体に強い男はモテる」は本当か?
(こういうことを言うと特定の団体に怒られるかもしれないが)、「女性がどういう男性に魅力を感じるか?」は、社会的なイメージに左右される。
世界各国の「モテる男性の特徴」を検索などして比較すると、国ごとに「モテる男性のイメージ」がけっこう違って、「女性の好み」は社会的、文化的なものでもあることがわかると思う。
アメリカのように、「筋肉=社会的成功」「肥満=貧困」がわかりやすい社会では、「マッチョがモテる」は成り立つ。
だが、日本はそうではない。欧州やアジアの国の多くでも、別にマッチョがモテるわけではない。
「肉体的な強さが、女性の本能に訴えかけるから、マッチョはモテるはずだ」という主張がされがちだ。
確かに、動物とか昆虫は、「肉体の強さ=モテ」かもしれない。
だが、人間の戦闘において、実は個体の強さはそこまで重要ではなく、コミュニケーション能力の高い人間のほうが強かった可能性が高い。
そして女性は、「単体性能の高い個体」よりも、「協力するのが上手な個体」に魅力を感じる傾向がある。
最近は、ボクシングや総合格闘技のチャンピオンが「強い男」と見なされがちだが、それは現代のメディアや興行によって作られたイメージで、原始的な戦いであるほど、他人と協力するのが上手な人間のほうが強い。
サッカーやバスケのように、各プレイヤーが流動的にコミュニケーションをとる競技ほどモテやすいが、この手のチームスポーツのほうが、原始的な戦争や狩りに近く、女性の本能に訴えるものがあるのだろう。
何でもアリの原始的な殺し合いが行われたとして、「総合格闘技に有利な遺伝子の集団」と「サッカーに有利な遺伝子の集団」とでは、後者のほうが強かった可能性が高い。
「肉体的に強い孤独な男」というのは、男性からのウケが良く、女性からはそこまで好かれない。一方、女性ウケが良いのは「チームでワイワイやっている男性」だ。
この話については、「「清潔感のある人が好き」の本当の意味を解説!女性は男性の社交性を見ている」でも述べているので、気になるなら読んでみてほしい。

詳しくは上の記事で解説したが、実は、「社交的なタイプ」のほうが、「内向的なタイプ」よりも、社会的に成功する期待値が高い。
トップクラスの成果を出した人間には「内向的なタイプ」が多いが、同時に「内向性」は、平均的な成功の期待値を下げる要因になる。つまり、内向的な人間は、「少数の勝者」と「多数の敗者」にハッキリ分かれる傾向がある。
少女漫画やレディコミに出てくる「理想の男性」は、「友人関係に恵まれたヒョロガリ」が多い。
こういう女性の好みを見て、男性側は「女って見る目ねえな」と思いがちだが、実は女性のほうが現実的に物事を判断している。社交的で友達の多いタイプのほうが、平均的に成功する期待値が高いからだ。
女性は、「孤独なマッチョ」よりも、「つるんでいるヒョロガリ」のほうが「強い」と認識していて、実際にそれが間違っているとも言えない。
「そんなヒョロガリの身体で大事な彼女を守れんのかあ?」とマッチョは言うかもしれないが、個人の肉体的な強さは、原始的(本能的)なレベルでさえ大した重要性を持たず、仲間の多いヒョロガリのほうが「強い」のだ。
そもそも筋肉は「肉体的な強さ」として認識してもらえているのか?
上で、社会的にはもちろん、原始的なレベルにおいても、「個体の肉体的な強さ=本質的な強さ」ではないことについて書いてきた。
とはいえ、生物として優秀な個体がモテないわけではないだろう。
例えば、「顔が整っている人」は、健康で病気になりにくい個体である可能性が高く、だから本能的にも好かれやすい。また、「身長の高さ」も、男性が評価されやすい要素だ。
「顔の良さ」や「身長の高さ」は、基本的には、先天的に決まる。
これは筋トレ好きな男性にとって非常に残酷な話かもしれないが、筋肉は、後天的な努力で身につけることのできるものだからこそ、それが女性から「優秀さ」として評価されないのかもしれない。そもそも野生動物は筋トレしないし。
これに関しては、男性側が女性を責められる筋合いはない。男性だって、先天的に顔の整った「素朴な美人」を評価するし、後天的にオシャレを頑張った「オシャレなブス」を評価しない傾向がある。
どっちもどっちなのだ。
- 男性にとっての「素朴な美人」= 女性にとっての「スマートな高身長男性」
- 男性にとっての「オシャレなブス」= 女性にとっての「マッチョなチビ」
以上のように考えれば、「筋トレしてもモテない」ことが納得しやすいかもしれない。
「いや、待ってくれ! 少なくともムキムキな身体を維持しているのは、自己管理と継続的な努力ができることの証明にはなっているじゃないか!」と言いたくなるかもしれない。
これは一理あって、そういう認知が広まれば、マッチョがモテるようになる場合はある。現にアメリカはそういう社会だ。
日本の場合、そもそも女性側に知識や関心が乏しいかもしれない。「大胸筋が発達している」と「太っている」の違いがわからなかったり、「痩せているだけ」なのに「腹筋の筋が見えているからマッチョ」だと思っていたりなど、そういう認識の女性はけっこう多いだろう。
そのため、これから知識が普及すれば、日本において、もっと筋肉が肯定的に評価される可能性は十分にある。
だがそれでも、「筋トレ」は、そのコンセプトそのものが、女性から敬遠される要因になり得る。なぜなら、「筋トレ」は「自己中心的」な行為だからだ。
筋トレは「自己中心的」なもの
「なぜ筋トレに熱中するとモテないか?」の理由として、「筋トレは自己中心的」というのがある。
筋トレは、努力に対して結果が反映されるものの中でも、もっとも偶然(他人)に左右されにくいものだ。
「筋肉は裏切らない」という言葉があるが、「運や他人に左右される要素が少なく、自分の努力や怠慢の結果が100%自分に返ってくる」のが筋トレであり、そこに魅力を感じて筋トレにのめり込む人は多いだろう。
筋トレは、良い意味でも、悪い意味でも、「自己中心的」な性質のものだ。
仕事や恋愛は、他者に大きく左右されるものだが、一方で「筋トレ」は、「自分の行いがすべて自分に返ってくる自己完結した世界」であり、だからこそ、理不尽でままならない社会で生きている現代人にとっての「癒やし」や「心の拠り所」になる。
「筋トレ」は、「自己中心的だからこそ魅力的」なのだが、それゆえに、のめり込むほど「モテ」から遠ざかる。
筋トレにハマりすぎた人は、「自己管理ができていてステキ」を通り過ぎて、「一緒にやっていくのは難しそう」と思われてしまう。
筋トレ好きの人が勘違いしてはいけないこと
近年は、書籍、メディア、SNSなどで、「筋トレすればすべて上手くいく!」「成功する人はみんな筋トレしている!」みたいな宗教のような主張が流通している。これはあまり良くないことだと思う。
実は、「筋トレ」と「悪質なビジネス」は、結びつく余地がおおいにある。情弱から搾取するためには、「ターゲットを孤独に追い込む」ことが鉄板だが、筋トレはそういうやり方と普通に相性がいい。
将来の不安とかに対して、「筋トレさえすれば大丈夫!」というメッセージに飛びついてしまう人は、そのあとに情報商材などを売り込みやすい格好のターゲットだろう。思い当たる節がある人は気をつけたほうがいい!
上で言ったが、筋トレは、あくまでも「自己中心的」なものだ。あなたがどれだけ筋肉をつけたところで、それによって他の誰かが何か得をするわけではない。
筋トレは、それぞれが自分自身のために行うことであって、社会的に褒められるようなことではない。というか、単純な利害で考えると、他人が筋トレを熱心にやっていると、鍛えていない自分が怠けていると思われやすいので、マッチョとは鬱陶しい存在だったりする。
今の日本社会には、「筋トレを頑張るマッチョは、面白くて礼儀正しい」というイメージがあると思う。
これは、「マッスル北村」や「なかやまきんに君」など、メディアで活躍してきた人の功績が大きい。
これに関して、「筋トレをするから素晴らしい人格になるのではなく、筋トレが他人の役に立つわけではない自己中心的な行為だからこそ、先人たちは良いイメージを作るために苦心してきた」というのが因果としては妥当な気がする。
最近は、「筋トレするから優れた人」というイメージをむやみやたらに喧伝するものが多いけど、それは誤りだ。
最近の安易な風潮に乗っかった筋トレ好きは、「自己中心的な努力をしているだけなのに、社会的に自分の価値が高まったと勘違いしている」のだから、そういう男性に苦手意識を感じる女性が多くなるのも無理はない。
日本でもマッチョがモテるようになる可能性
ここまで、筋肉についてマイナスのことを述べてきたが、自分は筋トレを否定しているわけではなく、むしろ「適度な筋トレ」はぜひやったほうがいいと考えている。
「マッチョになればモテるわけではない」という話であって、「ボディメイクやダイエットのための筋トレ」は、ルックス向上に繋がり、普通にモテに近づく行為である。
あと、日本でも、社会的なコードが変化すれば、「マッチョという理由で女性にモテる」社会になる可能性がないわけではない。
「みんなが筋トレするべきだよね」「まっとうな男性なら筋肉くらいつけてないとね」という風潮が高まれば、「マッチョ=よくわからないことを頑張っている人」から「マッチョ=社会のコードに合わせて努力できる人」と認識が変わり、筋肉がスゴいからという理由で女性にモテるようになるかもしれない。
ただ、「筋トレするのが当たり前」という規範ができるのは、それはそれで、暑苦しくてイヤな社会ではある。
以上、「マッチョがモテるは嘘」について解説してきた。
日本では、筋肉をつけたからといってモテないが、ジムに通って筋トレしている人の大半は、モテるためにやっているのではなく、筋トレが楽しいからやっている。
ここで書かれたようなことはすでに承知の上で、あえてモチベーションを高めるために、「マッチョはモテる!」と自分に言い聞かせているだけの場合もある。
当サイトは、たまにこういうオピニオン記事も書いているけど、基本的には「メンズ美容」の専門サイトだ。この記事の内容が参考になった人で、「モテ」や「ルックス向上」に興味があるなら、以下の記事を参考にしていってほしい。
