「チアシード」は、必須脂肪酸、食物繊維、ミネラルなどが豊富な、とても栄養価の高い食品として知られている。
アメリカやカナダでは、「スーパーフード(ものすごく栄養価に優れた食品)」は何か、色んな研究データなどが出されて議論され、歳ごとにスーパーフードのランキングやリストが入れ替わったりもする。
そんな中で、「チアシード」は、「スピルリナ」や「アサイー」と並んで、スーパーフードの位置を長年維持し続けている。
チアシードは、多くの客観的な基準を持ち出しても、「ものすごく健康に良い食品」と断言することができるだろう。
今回は、チアシードとは何か、栄養成分、栄養効果、食べ方(レシピ)、デメリットの真偽、ダイエット向けの食べ方、おすすめのチアシードなどについて詳しく解説していく。
目次
チアシードとは何か?
「チアシード」は、「チア」という、南米原産のシソ科の植物の種子。
「チア」は、南米では16世紀から栽培の記録があり、トウモロコシと並んで、重要な栄養源とされてきた。
「水とチアシードさえあれば生きていける」と言われているくらい、重要な栄養素が詰まった種なのだ。
日本で食べられているチアシードに近い食品としては、「ゴマ」がある。ちなみにゴマは、インド原産のゴマ科の植物の種。
「ゴマは身体に良い」と言われることが多いが、栄養面では、チアシードのほうが、ゴマよりもさらに優れている。
一方で、味は、チアシードはだいぶゴマに劣る。
ゴマには、良質な風味があり、様々な形で料理に合わせることができる。一方で、チアシードを加えても、風味が豊かになることはなく、せいぜい膨らんでかさ増しするだけ。
つまり、「ゴマと同じような植物の種だが、ゴマのようにおいしくはなく、代わりに、ゴマと比べても圧倒的に身体に良い」のが「チアシード」だ。
チアシードの栄養成分表示
チアシードの栄養成分表示を記述する。
成分表示は、「スーパーフードジャパン」のチアシードの表記を参考にしている。
「ホワイトチアシード」と「ブラックチアシード」それぞれのものを載せる。
ホワイトチアシードの成分表示
エネルギー:449kcal
たんぱく質:23.6g
脂質 :31.3g
(-飽和脂肪酸:2.9g)
(-n-3系脂肪酸:17.0g)
(-n-6系脂肪酸:5.0g)
(-n-9系脂肪酸:1.5g)
炭水化物 :33.7g
(-糖質 :2.7g)
(-食物繊維 :31.0g)
食塩相当量:0.0g
カルシウム:670mg
亜鉛 :5.4g
カリウム :460mg
鉄 :5.8mg
ビタミンE :0.2g
(ホワイトチアシード100g当たり)
ブラックチアシードの成分表示
エネルギー:478kcal
たんぱく質:20.3g
脂質 :34.7g
(-飽和脂肪酸:3.2g)
(-n-3系脂肪酸:18.0g)
(-n-6系脂肪酸:5.2g)
(-n-9系脂肪酸:1.8g)
炭水化物 :37.7g
(-糖質 :4.5g)
(-食物繊維 :33.2g)
食塩相当量:0.0g
カルシウム:610mg
亜鉛 :5.0mg
カリウム :490mg
鉄 :5.7mg
ビタミンE :0.2g
(ブラックチアシード100g当たり)
100gあたりの栄養成分を表示したが、「スプーン1杯」で、だいたい5gほどになる。
1日の摂取量としては、5g〜10gあたりを想定するといい。
ブラックチアシードとホワイトチアシードはどう違って、どちらが良いのか?
ゴマにも「黒ごま」と「白ごま」があるように、チアシードにも「黒」と「白」がある。
「どちらが良いのか?」については、「どっちでもいい」という結論になる。
栄養価は、ほとんど違いがない。
しいて言えば、「白」のほうが、カロリーに対してのタンパク質の多さ、糖質の少なさなどを考えて、ほんの少し優秀と言えるかもしれない。
ただ、たいした違いではないので、どちらを選んでも構わないだろう。
「味」に関しては、どちらも無味で、ほぼまったく違いがない。目隠しされて口に入れると、判別は難しいと思う。
ただ、「白」のほうが「膨張率」がほんの少し高めなので、一定量を口に入れると、その違いによって判別できるかもしれない。
食べ比べてみると、味は同じだが、「白」のほうが、膨張率が高く、よりモゾモゾする感じがある。
「膨張率」は、ブラックチアシードが10倍、ホワイトチアシードが14倍と言われている。
また、ホワイトチアシードのほうが生産量が少なく、現地では白いほうが見栄えが良いとされることもあるらしい。ただ、日本で売られているものは、白と黒とで値段はほとんど変わらない。
チアシードの効果を解説!栄養価がスゴすぎる!
チアシードが、なぜ「スーパーフード」としてここまで持て囃されているのか。具体的にどんな栄養素が含まれているのかを解説する。
良質な脂質(オメガ3脂肪酸)
チアシードは、種子なので、脂質を多く含んでいる。
そして、チアシードの脂質のうちの半分以上が、「オメガ3脂肪酸」という「必須脂肪酸」になる。
チアシードに含まれている「α-リノレン酸」は、「クルミ」などにも多く含まれている、体内合成ができないので外部から取り入れるしかない「必須脂肪酸」だ。
体内に入った「α-リノレン酸」の一部は、同じオメガ3の必須脂肪酸である「DHA」や「EPA」にも変換される。
脂質は細胞を作る材料になるが、「オメガ3脂肪酸」は、分子構造が曲がりくねった柔軟な形をしていることから、「柔軟な細胞を生み出す材料」になり、動脈硬化の予防など、様々な良い効果が期待されている。
チアシードの特に優れた点は、「オメガ3脂肪酸」の含有率。脂質「31.3g」に対して、オメガ3脂肪酸が「17.0g」(比率が約54%)で、なんと半分以上が「オメガ3」なのだ。
オメガ3が豊富と言われる「クルミ」でも、オメガ3の比率は約15%ほどであり、チアシードの「オメガ3」含有率は、他の良質な食品と比べても突出している!
また、チアシードには、アーモンドなどに含まれる「オレイン酸(オメガ9脂肪酸)」の含有率も高い。
チアシードは、ゴマのような種子や、ナッツ類などと比較しても、「脂質のクオリティ」が特に優れている!
(なお、脂質について詳しく知りたいなら、「良い脂質とは何か?オメガ3を含む食品と健康に良い根拠」を参考)
食物繊維
「食物繊維」は、腸内環境を整えるために、たくさん摂りたい栄養素だ。
チアシードには、こんにゃくと同じ「グルコマンナン」という膨張する作用のある水溶性食物繊維が大量に含まれている。
これによって、満腹感を感じやすく、便通が良くなりやすい。
チアシードは、食物繊維の含有量がとても高く、ほんの少量を摂取しただけでも、食物繊維の効果を期待することができる。
高タンパクで低糖質
チアシードは、種なのでその多くが脂質だが、カロリーに対してのタンパク質量が、それなりに多い食品でもある。
チアシードのタンパク質には、体内合成することのできない必須アミノ酸が8種類も含まれている。
また、炭水化物のうち、ほとんどが食物繊維で、糖質はごくわずかしか含まれていない。
健康面・ダイエット面を考えたとき、優れた要素の多い食品と言える。
ミネラルが豊富
チアシードには、カルシウム、亜鉛、カリウム、鉄、マグネシウムと、重要なミネラルが豊富に含まれている。
下手なミネラルのサプリを摂るくらいなら、チアシードをそのまま食べたほうがいいだろう。
また、チアシードには、「セレン(セレニウム)」という、抗酸化作用のある珍しいミネラルも少量だが含まれている。セレンには、活性酸素の抑制をサポートする働きがあり、アンチエイジング効果を期待されている。
チアシードは、普段の食事からは十分に摂取するのが難しい、重要な栄養成分の詰め合わせのような食品だ。
とはいっても、大量に食べる必要はない。1日にスプーン1さじ程度(4〜6g)、成分表示の20〜30kcalぶんをそのまま摂取するだけでも、栄養バランスが大きく改善されるだろう。
チアシードの「食べ方」と「レシピ」を解説……おいしく食べるのは難しい
チアシードの「食べ方(レシピ)」として一般的なのは
- 牛乳に入れる
- スムージーに入れる
- ヨーグルトに混ぜる
- スープに混ぜる
- ドレッシングにしてサラダにかける
- すりつぶしてペーストにして、パンなどに塗る
などが挙げられる。
自分はわりと長くチアシードを食べ続けているのだが、長年の試行錯誤の結果、「チアシードをおいしく食べるのは難しい」という結論に至った。
レシピなどを見て、いろいろやってみたのだが、どれも、「チアシード入れないほうがおいしい」「手間がかかりすぎて毎日は厳しい」という感じだった。
今では、そのまま口に放り込んで、ボリボリと噛んで食べている。
チアシードの味は、なんというか、「無」だ。
「マズい」とか「変な味がする」わけではないのだが、特においしくもない。
あと、水を吸って膨れるが、その食感が特に良いというわけでもない。
料理に入れたり混ぜたりすると、「邪魔」になることがほとんど。
味はおいしくないが、「かさ増し」の効果があるので、ダイエット中の人が、ヨーグルトに混ぜたり、スムージーに入れたりするのは、合理的かもしれない。
自分は今も、「ヨーグルトに混ぜる」食べ方はよくする。
ヨーグルトに混ぜたりすると、たしかに食べやすく、ボリュームアップした感があるので、ダイエットには向いていると思う。
しかし、入れることでヨーグルトがおいしくなるかというとそうではなく、むしろチアシードを入れないほうがおいしい。
ヨーグルトや水と混ぜて、膨らませると、チアシードのシソっぽい風味のようなものが、少し出てくる。とはいえ、それによって風味が良くなるわけではない。
「シリアルに混ぜる」のは、味は良くならない(むしろ悪くなる)が、栄養バランスが非常に良くなり、「かさ増し」にもなるので、有効な食べ方かもしれない。
チアシードは、あくまで健康効果に期待するものであって、味に期待するものではないというのが、長年食べ続けてきた自分の結論だ。
一応、YouTubeにアップされている「チアシードのレシピ動画」をいくつか紹介する。
使い方知ってる?自宅で作るマンゴーチアシードドリンクの作り方
チアシードの一般的な使い方として、スムージーなどのドリンクに混ぜるというのがある。
これが一番シンプルかつ有用な調理法だと思う。独特の食感が加わって、かさ増しにもなる。
【腸いいレシピ】簡単!混ぜるだけ。チアシードプリンの作り方。
ミルクに混ぜて冷蔵庫で寝かし、プリンにする。
自分も作ってみたことがあるが、砂糖や蜂蜜などの甘みがないと、あまりおいしくない。
砂糖を使えばもちろんおいしくはなるが、砂糖の入れすぎは本末転倒なので注意しよう。
HOW TO MAKE CHIA PUDDING ‣‣ 6 Amazing Chia Pudding Recipes
英語の動画だけど、何をやっているかはわかるだろう。
ミルクやヨーグルトにチアシードを膨らませてから、瓶に入れる。バナナやベリーやスパイスなどで味付け。
オートミールの「オーバーナイトオーツ」と同じで、瓶に入れるとちょっと美味しそうに見える。
チアシードにデメリットはある?副作用と言われる「アブシジン酸」について
チアシードは、発芽毒である「アブシジン酸」が含まれているので、直接食べると人体に害があり、1日ほど水に浸けてから食べなければならない……みたいな主張をしている人がけっこういる。
これについてだが、結論を言うと、「チアシードはそのまま生で食べていい」。
日本のスピリチュアルな人たちとか、適当なメディアとかが、「チアシードはそのまま食べると毒」という極端な主張を広めまくっていて、これについて、大阪大学にあるメーカーの研究所「ファインバイオサイエンス研究所」が、声明をネット上に出すまでやっている。
以下、サイト文を引用する。
インターネット上で、チアシードをはじめ、普遍的に種子に含まれるいわゆる「発芽毒」とよばれる物質について様々な情報がとびかっております。一度、本件について、メーカーである弊社の見解を説明させていただきます。
いわゆる発芽毒と呼ばれる物質に「アブシジン酸」というものがあります。これは植物ホルモンのひとつで、種子の成長に深く関わっている物質です。一般的にどの種子にも含まれるものですが、「アブシジン酸」が注目されているのは、アメリカの雑誌に掲載された一つの実験レポートでその危険性が示されたことによります。(Proc NatlAcad Sci U S A. 2007 Apr 3;104 (14):5759-64.)
試験は、食した場合の臨床試験ではなく、ヒトの顆粒球というものを使った特殊な細胞実験で、アブシジン酸が高濃度存在した場合に細胞を傷つける可能性が示されたという内容です。
このような情報に基づき、弊社では発売にあたり、弊社製品「ファインスーパーフード チアシード」中に含まれるアブシジン酸を第三者機関で測定し安全確認をしておりますが、結果は「極微量=0.01ppm」で、そのままお召し上がりいただいても全く問題ございません。
(「ファインスーパーフード チアシード」の発芽毒に対する見解-ファインバイオサイエンス研究所:より引用)
もともとは論文の極端な解釈から始まったデマなのだけど、日本の意識高い系やスピリチュアル系の人たちが、エビデンスを確認しない聴きづての極端な解釈を広めていって、「チアシードは生で食べるとヤバい!」みたいなことが多く言われるようになった。
「人を不安にさせる極端な情報ほど広まりやすい」という例だが、このような主張が日本で特に流行ったのは、「玄米が身体に悪い説」がまずあったからだと思われる。
「種子が人体に有害説」を信じる人たちは、玄米、ナッツ、チアシードなどを、1日ほど水に浸けてから食べるようだ。(水に浸けて発芽させれば大丈夫になるという理屈らしい)
「発芽する前の植物は、毒を溜め込んでいるので、人体に有害」みたいな説明は、もっともらしく聞こえるが、「じゃあ、ポリフェノールが身体に良いのはどういうことなんだよ?」という話になる。
「ポリフェノール」は、植物が外敵から身を守るための「毒」だが、人間がポリフェノールを体内に摂取すると、抗酸化作用などの身体に良い効果があることがわかっている。
これについて、鈴木祐『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』という書籍では、「ポリフェノールは人体にごく微量なダメージを与え、それが回復するから身体に良い」という説が紹介されていた。
そして案の定、「アブシジン酸」も、抗炎症作用など、身体に良い効果があると指摘する研究データもあるようだ。
いずれにしても、チアシードに含まれている「アブシジン酸」はごく微量であり、そもそも「アブシジン酸」は、ナッツや、成熟したフルーツなどにも含まれているものでもあるので、「気になくていい」という結論になる。
チアシードをおすすめする理由まとめ
自分がチアシードをおすすめする理由は、以下のようになる。
POINT
- 量(カロリー)に対して、「オメガ3脂肪酸、食物繊維、ミネラル」が特に豊富な食品
- 南米などの地域で、古くから栄養食として親しまれてきた歴史と信頼がある
- 栄養素に関心の高いアメリカやカナダの評価で、「スーパーフード」の地位を揺るぎないものにしている
- サプリメントのような工場で抽出した栄養素と違って、自然なバランスで総合的に栄養素を摂取できる
- 特に加工されていないチアシードをそのまま買えば、普通に価格が安い
チアシードは、ほとんど無駄のない、重要な栄養素の詰め合わせになっている。そのため、サプリメントのような補助的な食品と考えて、ボリボリ噛んで食べることをおすすめする。頑張って料理してもあまりおいしくはならないので、栄養摂取のためと割り切って、そのまま食べると楽。
なお、チアシードだと、サプリで同じ量の成分を摂取するよりもずっと安いのがメリット。
チアシードは、「セレブ御用達」とか紹介されることが多いので、高級食材だと勘違いしている人が多いかもしれないが、実はめっちゃ安い!
南米で栽培されているシソ科の種なので、十分な生産量があり、肉とか魚とかに比べれば全然安い。
ダイエット向けのチアシードの食べ方
チアシードは、ダイエットにも向いている食品だ。
チアシードは、良質な脂肪により満腹中枢を満たしてくれるし、食物繊維が豊富なので、糖や脂肪の消化吸収を穏やかにしてくれる。
ダイエットをしている人におすすめなチアシードの食べ方は、「食事の前」に摂取すること。
「ベジファースト」と同じ要領で、食物繊維が豊富なものを先に入れると、消化吸収をゆるやかにしてくれる。
また、グルコマンナンが膨張してかさ増しをして、良質な脂質が満腹中枢を刺激するので、食事全体の満腹感を底上げしてくれる。
ダイエットをしている人は、主食の炭水化物の量などをちょっと減らすなどして、その代わりに、10gほどのチアシードを食前にボリボリ食べるといいだろう。
なお、「ベジファースト(最初に食物繊維を摂ったほうがいい)」などの理屈をちゃんと知りたい人は、「ダイエットの基礎知識まとめ」という記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてほしい。

おすすめのチアシードは?
チアシードをネット通販で買いたい人向けに、おすすめのチアシードを紹介する。
チアシード ホワイト 200g 日本人生産
自分も愛用している。「スーパーフードジャパン」のチアシード。現地の日本人農家が栽培している。
チアシード自体がそこまで高いものではないので、高品質なものでも200gあたり1000円以下で買える。
200gでも、けっこう食べきるのは大変だと思う。
ABSOLUTE ORGANIC オーガニックチアシード 1.5 kg
コストコとかに売っているやつ。
有機栽培のチアシードで、コスパ最強。
いきなり買うと食べきれない可能性があるので、まずは200gのものを買って試してみることをおすすめする。
以上、「チアシード」について解説してきた。
当サイトでは、チアシードもランク入りしている「美容におすすめの食品ランキング」という記事を書いているので、こちらも見ていってほしい。

当サイトでは、「ダイエット向けのおすすめ食品」や「ダイエット向けのお菓子」などの記事も書いているので、よければ以下も参考にしてほしい。

