りんごは健康に良いのか悪いのか?美容効果や整腸作用を検証する

りんごは本当に健康的?

「りんご」は、「健康に良い果実」というイメージがある。

「An apple a day keeps the doctor away(1日1個のリンゴは医者を遠ざける)」というウェールズ由来のことわざがあるように、「りんご」は、長年にわたって「健康的な食生活の象徴」とされてきた。

しかし、「果糖が多く含まれているから、実は健康的ではない」と主張する人もいる。

今回は、「実際のところ、りんごは、健康に良いのか、悪いのか?」について、詳しく検証してみたい。

結論を先に言うと、「りんごはとても健康に良い果実」だ。ただ、むやみにたくさん食べればいいわけではない。

りんごの健康効果・美容効果などについて詳しく知りたい人、りんごを普段からよく食べている人にとって、ためになる内容だと思うので、気になる方は読んでいってもらいたい。

りんごの栄養成分表

りんご成分表

まず、「りんご(皮つき)」100gあたりの栄養価を載せる。数字は「食品成分データベース」から。

エネルギー:56kcal
たんぱく質:0.2g
脂質   :0.3g
炭水化物 :16.2g
(-水溶性食物繊維:0.5g)
(-不溶性食物繊維:1.4g)
カリウム  :120mg
マグネシウム:5mg
βカロテン  :27μg
ビタミンB1 :0.02mg
ビタミンB2 :0.01mg
ビタミンB6 :0.04mg
ビタミンC  :6mg
ビタミンE  :0.4mg

平均的な大きさのりんごは、1個あたり約250gなので、りんご1つで、成分表の数字の2.5倍と考えるといい。

では次に、「りんごはなぜ健康に良いとされているのか?」について、具体的に解説していく。

 

「食物繊維」の量

りんご食物繊維

りんごは、シンプルに、「食物繊維」の量がめちゃくちゃ多い!

100gあたりの成分表で、穀類や野菜などと比較すると少なく見えるが、りんごは「特に水分量の多い果物」なので、1個あたりの重さが250gになる。

りんご1個(250g)あたり、およそ「4.8g」の食物繊維を摂取することができる。

ちなみに、食物繊維が非常に豊富とされている穀物「オートミール」の1食(30g)あたりの食物繊維は、約「2.8g」だ。

りんご1個は、オートミール1食よりも、食物繊維の量が1.5倍以上もある。

りんごは、あらゆる食品の中でも、特に「食物繊維」の「量」が多い。

ちなみに、1日の食物繊維の目標摂取量は、男性で1日あたり20g以上、女性で1日あたり18g以上とされている。

りんごを4つ食べると、1日の食物繊維の目標摂取量をクリアする計算になる。

普通に食事をしていると、1日20gの食物繊維を摂取するのはけっこう難しい。だが、りんごを1個食べるだけでも、1日の必要量の約1/4を摂取できる。これはかなりスゴいことだ!

 

「食物繊維」のバランス

りんご食物繊維バランス

りんごは、食物繊維の「量」だけではなく、「バランス」が優れているのが特徴。

食物繊維は、「水溶性」と「不溶性」のバランスが重要で、「1:2」に近づけるのが理想とされている。

りんご1個あたりの食物繊維「4.8g」のうち、「水溶性食物繊維」が「1.3g」で、「不溶性食物繊維」が「3.5g」。

不溶性のほうが多く思えるが、たいていの果物や野菜は、「不溶性食物繊維」の比率のほうがずっと多い。りんごは、果物の中でも特に「水溶性食物繊維」の比率が高く、バランスの良い配分になっている。

りんご1個で、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の、両方をバランス良く摂取できるのだ。

 

「食物繊維」の質

りんご食物繊維の質

「食物繊維」には、実は色んな種類がある。

例えば、「水溶性食物繊維」の中でも、「ペクチン」「βグルカン」「アルギン酸ナトリウム」「グルコマンナン」が、特に良質な食物繊維と言われている。

それぞれ、多く含まれている食品は以下のようになる

  • 「ペクチン」……りんご、キャベツ、大根など
  • 「βグルカン」……オートミール、大麦など
  • 「アルギン酸ナトリウム」……こんぶ、わかめなど
  • 「グルコマンナン」……こんにゃく、チアシードなど

一口に「食物繊維」と言っても、色んな種類があり、できれば複数の食物繊維を摂取したほうが良いとされている。

りんごは、良質な水溶性食物繊維である「ペクチン」を摂取できる食品の代表格だ。

「ペクチン」は、りんごや、柑橘系の果物、大根や人参などの根菜、キャベツなどに多く含まれる。

ペクチンは、天然の多糖類で、消化酵素の作用を受けずに小腸を通過して大腸まで届き、ビフィズス菌や乳酸菌の良質なエサになる。

また、ペクチンには粘性があり、コレストロールより生合成される「胆汁酸」や、その他の有害物質を吸着して排出し、コレストロールを減らす効果がある。

りんごに含まれる「ペクチン」、大麦に含まれる「βグルカン」、海藻に含まれる「アルギン酸ナトリウム」、こんにゃくの「グルコマンナン」は、優れた整腸作用と健康効果があり、積極的に摂取したいとされている。

近年は、食物繊維不足を補うために、トウモロコシなどから抽出した「難消化性デキストリン」が、食品や飲料に配合されている場合が多い。

「難消化性デキストリン」が悪いわけではない。消化吸収を穏やかにする作用はちゃんとある。

しかし、「人工的に抽出して後から配合した食物繊維」と、「りんご、大麦、海藻などに自然なバランスで備わっている食物繊維」とでは、同じ「食物繊維」という分類でも「質」が違う。

その点において、りんごの食物繊維は、「量の多さ」「バランスの良さ」「質の高さ」のすべてが、とても優れている!

 

りんごの美容効果

りんご美容効果

上述したように、りんごは、「食物繊維のため」だけでも、積極的に食べる価値がある。

加えて、りんごは、「カリウム」というミネラルの含有量も高い。カリウムには、塩分の排出を促す効能がある。

食物繊維とカリウムによって、腸内環境を整えて、むくみをなくすので、美肌や体型維持において、りんご優れた点の多い食品と言える。

また、ビタミンで言うと、免疫向上や抗酸化作用のある「ビタミンC」が、比較的多く含まれている。

しかし、りんごは、ビタミンやミネラルを比較すると、他のフルーツや野菜には、数字が劣る。

例えば「ビタミンC」だが、ブロッコリーやキウイなどのビタミンCが豊富な食品と比べれば、りんごはあまりパッとしない。

りんご1個(250mg)あたりに「15mg」のビタミンCが含まれているのに対して、ブロッコリーは100gあたり「55mg」、キウイは1個(100g)あたり「73mg」のビタミンCが含まれている。

りんごは「食物繊維」が長所で、ビタミンやミネラルは乏しいと言うべきかもしれない。

ただ、次に紹介する「抗酸化物質(ファイトケミカル)」においては、りんごは他のフルーツや野菜と比べても、非常に良質な成分を含んでいるとされている。

 

りんごの隠れた健康効果「ファイトケミカル」について

りんごファイトケミカル

近年は、「ファイトケミカル(フィトケミカル)」という栄養素への注目が高まっている。

「ファイトケミカル」は、現時点では、栄養成分表に書かれることは少ないが、抗酸化作用などの健康効果が期待されている栄養素だ。

「ファイトケミカル」は、「第7の栄養素」と言われはじめている。

最初は、「炭水化物、たんぱく質、脂質」の「3大栄養素」だった。

次に、「ビタミンとミネラルが重要らしい」ということがわかって、「5大栄養素」になった。

その次に、「食物繊維」の重要性が認知され、現在は「炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維」の「6大栄養素」という見方をされることが多い。

そして、「第7の栄養素」として認知され始めているのが、「ファイトケミカル」という「植物に含まれる天然の化学成分」

有名な「ファイトケミカル」に、「ポリフェノール」がある。植物が光合成を行うときにできる物質の総称を「ポリフェノール」と言い、「イソフラボン」や「カテキン」もポリフェノールに分類される。

「ポリフェノール」の健康効果について、臨床データなどから「ポリフェノールが身体に良いことは、ほぼ確実に言える」という感じなのだが、「どういう理屈で身体に良いか?」までは、現時点では仮説の段階。

つまり、ポリフェノールなどの「ファイトケミカル」は、「ビタミン、ミネラル、食物繊維」ほどは、効果やメカニズムが明らかになっているわけではないが、「どうやら身体に良いらしい」栄養素のこと。

りんごポリフェノールは、「プロシアニジン類」という良質なポリフェノールが主成分になっている。

「プロシアニジン」は、「カテキン」や「レスベラトロール」と比べても、特に高い抗酸化力を保つとされている。

さらに、

  • 美白
  • 育毛
  • 抗アレルギー&免疫
  • 内臓脂肪軽減
  • 糖代謝サポート

などの働きがある可能性が、研究で報告されているようだ。(参考:プロシアニジンとは | 青森りんご公式サイト

りんごは、ファイトケミカルが豊富な果実で、現在の栄養成分表に示されているよりも多くの健康効果を持っている可能性がある。

 

「りんご酢」について

りんごを「アルコール発酵」させて、さらに「酢酸発酵」させて作られるのが「りんご酢」だ。

「りんご酢」は、健康効果が注目されることが多い。

「酢」は、「糖の吸収を抑える、血圧を下げる、満腹感を持続させやすくする」など、高い健康効果があることで知られている。

ただ、りんご酢であれ、米酢であれ、黒酢であれ、バルサミコ酢であれ、そもそも「酢」が身体に良く、「りんご酢」だから特別な効果があるというわけでもない。

上で紹介した、「ファイトケミカル」の抗酸化作用が、わずかながら関係しているかもしれないが、現時点でその科学的なエビデンスが充実しているわけではない。

「りんご酢」だから特別に身体に良いというわけではないにしても、「りんご酢」はまろやかで飲みやすい傾向があり、「りんご酢」を飲む習慣が健康に繋がることは考えられる。

 

「果糖」が身体に悪いという説について

「りんごは健康的ではない」という主張をする人もいて、その根拠は、りんごが「果糖」を含んでいるから、というもの。

りんごなどのフルーツは、「果糖(フルクトース)」という種類の糖を含んでいる。

通常、糖質は小腸から吸収されるが、「果糖(フルクトース)」は、小腸ではなく肝臓で代謝される。そのため、インスリンを必要とせず、血糖値が上がらない

「血糖値を上げない」という果糖の特徴は、フルーツの健康的なイメージとも相まって、「太りにくい甘味料」とかつては言われていた。

しかし近年は、「果糖」は、血糖値を上昇させにくいだけで、過剰摂取すると、中性脂肪の増加や脂肪肝の原因になることが指摘されている

「果糖だからといって健康的なわけではない」ことが明らかになったのだ。

どんな糖質であれ、過剰摂取すると身体に悪く、「果糖」も例外ではない、という話。

ただ、「果糖」が健康的とは言えないからといって、「果糖は身体に悪い→りんごには果糖が含まれている→りんごは身体に悪い」となるのは、かなり極端な考え方だろう。

りんごは、食物繊維を豊富に含んでいるので、果糖の吸収も、非常に穏やかだ。

あと、そもそもフルーツには、「果糖」だけではなく、「ブドウ糖(グルコース)」「ショ糖(サッカロース)」「多糖類」など、様々な種類の糖質が複合的に含まれている。

「果糖がイメージほど身体に良いわけではない」というのは事実だが、「だから果物(りんご)は身体に悪い」と言いたがる人は、一面的にしか物事を見ていない。

 

「りんご」は、身体に良いのか、悪いのか?

どんな食べ物でも、それが健康的かどうかは「食べ方による」。

基本的に、「りんご」は、「食物繊維の宝庫」かつ、「良質なポリフェノール」が含まれている、とても健康効果の高い食品と言える。

「間食にりんごを食べるのとクッキーを食べるのとで、どちらが健康的か?」という問いであれば、間違いなくりんごのほうが健康的と言えるだろう。

だが、1日にりんごを10個も20個も食べれば、炭水化物(糖質)やカロリーの過剰摂取になってしまうだろう。

どれだけ健康的とされる食品であっても、「食べれば食べるほど身体に良い」なんてことはない。

「水」だって、飲みすぎると、水中毒という危険な状態になる。「ブロッコリー」や「チアシード」のような優良食品でも、非常識なほど食べ続ければ、ミネラルや微量成分の過剰摂取の弊害が、原理的には必ずある。

「りんご」は、美容効果と健康効果に優れている、健康に良い食品だ。だからといって、一度にたくさん食べ過ぎたりすると、当然だが健康にはマイナスになりうる。

 

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以上、「りんご」の健康効果について解説してきた。

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