アボカドは、「森のバター」「食べる美容液」と言われるくらい、優れた栄養価を持つ食品として知られている。
果物なのに、糖質ではなく脂質が豊富で、「世界一栄養価の高い果物」とギネスに認定されているらしい。
今回は、「実際のところ、アボカドの美容・健康効果ってどうなの?」について書いていく。
「とにかくアボカドはスゴい!」と主張するのではなく、冷静に、メリットとデメリットを検証していきたい。
「アボカドを使ったレシピ」についても、参考になるYouTube動画を紹介していく。
目次
アボカドの栄養成分表示
エネルギー:178kcal
たんぱく質:2.1g
脂質 :17.5g
(一価不飽和 :9.96g)
(多価不飽和 :1.85g)
(n-3系 多価不飽和:0.12g)
(n-6系 多価不飽和:1.72g)
炭水化物 :7.9g
(水溶性食物繊維:1.7g)
(不溶性食物繊維:3.9g)
カリウム :590mg
マグネシウム :34mg
αカロテン :12μg
βカロテン :67μg
ビタミンB1 :0.09mg
ビタミンB2 :0.20mg
ビタミンB6 :0.29mg
パンテトン酸 :1.55mg
ビタミンC :12mg
ビタミンE :3.6mg
アボカド100gあたりの栄養価。データは「食品成分データベース」から。
なお、アボカド1個あたりの重さは「150〜250g」ほど。
それぞれの栄養価について、以下で詳しく解説していく。
アボカドの「脂質」は、本当にカラダに良いのか?
アボカドは、「良い脂質」というイメージが強い。
多くの人が、なんとなく、「アボカドは良い脂質だから摂ったほうがいい」と考えているかもしれない。
しかし、実際のところ、アボカドの脂質は、「比較的カラダに良い脂質だが、積極的に摂るべきと言えるほどではない」というのが正確な知識だ。
「良い脂質」については、「「良い脂質」とは何か?オメガ3を含む食品と健康に良い根拠」で書いている。

ここでは、手短に結論だけ話すが、「良い脂質」を摂る上で意識すべきことは以下。
「オメガ3」……「良い脂質」なので積極的に摂りたい。
「オメガ6」……過剰摂取が問題になるので、なるべく避けたい。
「オメガ9」……積極的に摂りたいわけでもないが、「オメガ6」の代用に使うと身体に良い
となる。
それぞれの脂肪酸が多く含まれる食品を挙げると、以下のようになる。
- 「オメガ3」……魚の油、クルミ、チアシード、えごま油など
- 「オメガ6」……肉、卵、マーガリン、ごま油など
- 「オメガ9」……アボカド、アーモンド、オリーブオイルなど
アボカドの油に多く含まれるのは、一価不飽和脂肪酸である「オレイン酸」という「オメガ9」にあたる脂肪酸だ。
アボカドにも「オメガ3」である「αリノレン酸」が、まったく含まれていないわけではないが、含有量は、脂質「17.5g」のうちわずか「0.12g」で、決して「豊富に含まれている」とは言えない。
「アボカドでオメガ3を摂取できる」と言う人がいるが、(まったくウソではないが)盛りすぎだ。
とはいえ、アボカドの脂質が、良質で健康的な脂質であるというのは、間違っていない。
アボカドの脂質の多くを占める「オレイン酸」は、アーモンドやオリーブオイルの脂質にも多く含まれるもので、「オメガ9」に分類される。
「オメガ6」の比率が多い、肉や卵や乳製品の脂質よりはカラダに良く、それらの脂質をアボカドに置き換えるだけでも、悪玉コレステロールの減少などの健康効果が期待できる。
「比較的カラダに良い脂質」というだけでも価値がある
アボカドの脂質は、積極的に摂りたい「オメガ3」ではなく、「オメガ6」の代用として摂るとカラダに良い「オメガ9」だ。
ただ、「相対的にカラダに良い」というだけでも、大きな価値がある。
なぜなら、「脂質」は、重要なエネルギー源だからだ。
人間は、「タンパク質」に加えて、「糖質か脂質のどちらか」あるいは、「両方」を摂取する必要がある。
「糖質」を制限する人は、「タンパク質」と「脂質」の組み合わせになるが、「オメガ6」の摂りすぎで、動脈硬化や悪玉コレステロール上昇などのリスクが増えてしまうリスクがある。
その際に、アボカドをメニューに入れると、脂質のバランスが大きく改善される。
「タンパク質」と「脂質」を中心にメニューを組む「糖質制限」の場合、「肉や卵や乳製品の代用にすると健康的な脂質」というだけでも、アボカドには大きなメリットがある。
健康的に糖質制限をする上で、アボカドは、「ほぼ必須」と言えるくらい重要な食品だ。
「脂質」と「食物繊維」が結びついた食品
アボカドは、100gあたりの食物繊維が「5.6g」と、食物繊維がものすごく豊富な食品だ!
この、「脂質」と「食物繊維」の両方が豊富であることが、アボカドのユニークな部分。
通常の果物は、「糖質」と「食物繊維」が結びついた状態だが、アボカドは、「糖質」が低く、「脂質」と「食物繊維」が結びついている。
アボカドと似たような特徴を持つのは、「アーモンド」などのナッツ類だが、ナッツと比較しても、「アボカド」は食物繊維の量が特に多く、みずみずしい味わいがあるのも特徴。
実は、「脂質」と「食物繊維」の組み合わせは、「整腸作用」がとても高い!
脂質は、整腸に効果がある。消化吸収を抑えてくれるし、潤滑油として働くので、腸の働きを活性化し、便美を予防する効果もある。過剰摂取するとお腹がゆるくなるが、食物繊維と組み合わさることでそれが緩和される。
体質に合う合わないもあるが、「脂質と食物繊維の組み合わせ(アボカドやナッツ)」は、「糖質と食物繊維の組み合わせ(フルーツ)」とはまた切った形で、整腸に良い。
フルーツや野菜をたくさん食べているけど、お腹の調子がよくならない人は、アボカドやナッツを試してみるといいかもしれない。
また、「満腹中枢を刺激してくれる脂質」と「カサ増しして吸収を穏やかにしてくれる脂質」の組み合わせは、満腹感を感じやすく、太りにくい。そのため、アボカドはダイエットにも向いている。
「脂質」と「食物繊維」が結びついていることは、アボカドの稀有な特徴であり、「整腸」や「ダイエット効果」を期待できるものでもある。
美容成分のあるビタミンが豊富
アボカドには、
- 高い抗酸化作用を持ち、シミやシワの発生を防ぐ「ビタミンE」
- 皮膚や粘膜の健康を維持する「ビタミンA」(に体内で変換される「βカロテン」)
- 免疫力のもとになり、コラーゲンの生成を促してくれる「ビタミンC」
- エネルギー代謝や筋肉の合成をサポートする「ビタミンB群」
など、良質なビタミンが、自然な比率で含まれている。
アボカドは、「ビタミン豊富で、美容に良いイメージ」があるが、それは間違っていない。
実際のところ、アボカドの美容・健康効果はどうなの?
アボカドの良い点は以下
POINT
- 健康的な脂質
- 糖質が低く、食物繊維が豊富
- 「脂質と食物繊維が結びついている」という特徴
- 良質なビタミン
総合的に見て、美容・健康効果の高い、優れた食品と言えると思う。
さらに、「味の良さ」も、アボカドの優れた点だ。
糖質が低いのに、フルーツのようなみずみずしい味わいがある。
以上の特徴から、アボカドは、「糖質制限」や「ケトジェニックダイエット」において、非常に有用な食品と言える。
糖質制限をして脂質を多く取り入れると、「オメガ6」の脂質の過剰摂取が問題になりやすいが、メニューにアボカドを入れることで、脂質のバランスが良くなる。
もちろん、糖質制限中に不足しがちな「食物繊維」が豊富であることも大きなメリットだ。
「糖質制限をするなら、メインに据えたい食材」と言える。
アボカドのデメリットを挙げるなら、「カロリーが低いわけではない」こと。
アボカドは、カロリーが高く、おいしいのもあり、下手するとついつい食べすぎてしまうので、注意が必要。
「糖質制限ダイエットに向いているが、カロリー制限ダイエットには向いていない食材」と言えるかもしれない。
「美容・健康」を意識した、アボカドのおすすめレシピ
アボカドは、サーモンと混ぜて、ご飯と一緒に食べるなどすると最高においしいが、旨すぎるがゆえにダイエットには向いていない。
美容・健康目的でアボカドを活かすのならば、「糖質制限メニュー」にするのが良く、エビやツナなど、高タンパクの食材と組み合わせるのがおすすめ。
以下、参考にしやすいYouTubeレシピ動画を紹介していく。
サラリーマンの平日節約男飯!【えびアボカドのわざびマヨあえ】
アボカドレシピの定番である「エビアボカド」。
普通に作れば安定してうまい。タンパク質と脂質が豊富なので、一品の満足度がとても高い。
【糖質制限ダイエット】5分で作れる!「アボカドとツナ缶のワサビ和え」
アボカドとツナを混ぜるだけのシンプルな和え物。
「低糖質なのに、みずみずしく濃厚な味わい」というアボカドの特徴が、ツナと混ぜることで活きる!
10分で1食レシピ「チキンとアボカドのサラダディッシュ」を緑川鮎香さん(アボカド料理研究家・管理栄養士)が実演!
「ミニトマト」と「レタス」のサラダに、「鳥もも肉」と「アボカド」を入れるシンプルなもの。糖質制限食のメインになりうるメニュー。
サラダにアボカドを入れると、それだけで大きく満足感が上がる。
以上、「アボカド」について解説してきた。
当サイトでは、「美容におすすめの食べ物ランキング」や「ダイエット向けのおすすめの食品」の記事も書いているので、よければ参考にしていってほしい。


