「カーボサイクルダイエット」というダイエット方法がある。
炭水化物の摂取量を、短いスパンで変化させるダイエット法のことだ。
イメージとしては、「糖質制限」と「脂質制限」を1、2日ごとのスパンで繰り返し、糖質を多く摂る日(脂質制限の日)に高強度の運動をする、といった感じ。
食事メニューを日ごとに変える必要があり面倒かもしれないが、本気で痩せたい人、しっかり運動しながら痩せたい人には、おすすめのダイエット法だ。
今回は、「カーボサイクルダイエット」のやり方や、メリット・デメリットについて解説していく。
カーボサイクルダイエットのやり方
カーボサイクルダイエットは、「日によって炭水化物の摂取量を変化させる」というのが基本的なコンセプトだ。
- ハイカーボデイ :炭水化物を多く摂る日
- ミディアムカーボデイ:炭水化物をそれなりに摂る日
- ローカーボデイ :炭水化物をなるべく摂らない日
を、日ごとに繰り返す。
目安の数字としては
- ハイカーボデイ :炭水化物300gほど
- ミディアムカーボデイ:炭水化物200gほど
- ローカーボデイ :炭水化物50gほど
ただ、具体的な数字は、人によって異なる。
ダイエットのために行うので、総摂取カロリーが、1日の消費カロリー(基礎代謝+運動代謝)を下回るように調整するのが基本。
「ハイ」「ミディアム」「ロー」のどの日であれ、「タンパク質」は一定の量を確保する。(体重1kg×1.5gのタンパク質が目安)
「ハイカーボデイ」は脂質を少なめに、「ローカーボデイ」は脂質を多めに摂って、日ごとのカロリーの差が大きくなりすぎないようにする。
実質的には、「ハイカーボデイ(脂質制限)」と「ローカーボデイ(糖質制限)」を繰り返すような感じだ。
なお、これが重要な点だが、「カーボサイクルダイエット」は、「運動」と組み合わせることで意味を持つ。
- ハイカーボデイ :「高強度の運動」
- ミディアムカーボデイ:「中強度の運動」
- ローカーボデイ :「低強度の運動」または「オフ」
糖質を多く入れる日のほうが、体力や集中力を発揮しやすく、筋肉のカタボリックが起こりにくい。そのため、「ハイカーボデイ」に、大きな部位の筋トレなど「高強度の運動」を持ってくるところに、「カーボサイクル」の肝がある。
「ハイカーボの日に動く、ローカーボの日に休む」を繰り返すことで、高強度の運動をして筋肉をつくりながらも、代謝を落とさず、ハイペースで体脂肪を減らしていくことができる。
「どのような日程でカーボサイクルを組むのか」の具体例を出すと、例えば以下のようになる
- 月曜日:ハイカーボ
- 火曜日:ミディアムカーボ
- 水曜日:ローカーボ
- 木曜日:ハイカーボ
- 金曜日:ミディアムカーボ
- 土曜日:ローカーボ
- 日曜日:(自由に設定)
「カーボサイクル」は、そこまで厳密なものではなく、自分に合うようにカスタマイズしてもいい。
必ずしも、「週」ごとにサイクルを組まなければならないわけではない。
「週」ごとのサイクルにこだわらないのであれば、単純に「ハイカーボ」「ミディアムカーボ」「ローカーボ」の3つをただ繰り返すやり方でもいい。
1日おきという決まりがあるわけでもなく「ハイカーボ」「ミディアムカーボ」「ハイカーボ」「ローカーボ」「ローカーボ」などのサイクルもアリ。
重要なポイントは以下の2点
- 摂取する炭水化物の量を短いスパンで変化させ、体が慣れて代謝が下がらないようにする
- 「ハイカーボデイ」に高負荷の運動をする
これらを踏まえれば「カーボサイクルダイエット」といえる。
なぜ「カーボサイクル」を組むのか?
ダイエットにおいて、「消費カロリーが摂取カロリーを上回れば痩せる」は真理だ。
しかし、ダイエットを続けるほど、「消費カロリーが摂取カロリーを上回る」は難しくなる。
人間の体には「ホメオスタシス(恒常性)」という、変化に抵抗しようとする機能があるからだ。
ダイエットによって体重が減っていくと、体は「やばい!」と判断して、代謝を落とし、消費カロリーを減らそうとする。いわゆる「停滞期」だ。
一時的に多くのカロリーや糖質を摂取する「チートデイ」は、消費カロリーを減らそうとする体を「十分にカロリーが入ってくるから大丈夫だよ」と騙す(チートする)ことによって、低くなった代謝を元に戻そうとするやり方。
「糖質制限」や「カロリー制限」を続けると、停滞期に入って体重が落ちにくくなるので、「チートデイ」によって代謝に揺さぶりをかけるのが有効とされる。
「カーボサイクル」は、炭水化物の摂取量を日ごとに変えることで、停滞期に入らずに体重をスムーズに落としていく方法とされている。
以下では、「カーボサイクル」のメリットとデメリットをそれぞれ解説していく。
カーボサイクルダイエットのメリット
カーボサイクルダイエットのメリットは
- 代謝が停滞せず、体重が落ちやすい
- 「サイクル」さえ確立すれば順調に行きやすい
- 筋肉量や運動のパフォーマンスが落ちにくい
こと。
代謝が停滞せず、体重が落ちやすい
カロリー制限などのダイエット法は、最初は順調に体重が落ちていっても、「停滞期」に挫折して失敗しやすい。
「カーボサイクルダイエット」は、糖質をたくさん入れる日と、糖質をほとんど入れない日があるので、体が「慣れて」代謝が落ちることなく、スムーズに体重が落ちていきやすい。
また、糖質をちゃんと入れる「ハイカーボデイ」や「ミディアムカーボデイ」には「動きやすい」ので、筋トレや有酸素運動によって、積極的に消費カロリーを増やしていくことができる。
「サイクル」さえ確立すれば順調に行きやすい
「カーボサイクルダイエット」は、日によって食事内容を大きく変える必要があるので、その点では手間がかかる。
ただ、「サイクル」を確立しさえすれば、そのままのペースで続けやすいのが利点だ。
ダイエットにおいて、「停滞期」は、モチベーションの低下に繋がりやすいつらい時期で、それが起こりにくいという利点は大きい。
停滞期を乗り越えるための一般的な方法として、「糖質制限」と「脂質制限」を交互に切り換えるダイエット法などがメジャーだが、切り換えるタイミングで生活習慣が大きく変わるので、それがストレスや、失敗の原因になってしまいやすい。
カーボサイクルは、一度サイクルを確立すれば、同じ方法を長く続けても、順調に体重を減らし続けやすいという強みがある。
ちゃんとサイクルを組むからこそ、ストレスに意志力が負けてしまって暴飲暴食してしまうようなことが起こりにくい。
筋肉量や運動のパフォーマンスが落ちにくい
カーボサイクルは、「筋肉量を維持しながら体重を落とせる方法」「バルクアップと減量を同時にできる方法」として注目が高まった。
糖質を減らすとパフォーマンスが落ちやすいが、十分に糖質を摂る「ハイカーボデイ」は、高強度のトレーニングがしやすく、カタボリック(筋肉の分解)も起こりにくい。
そして、休む日を「ローカーボデイ」にすることで、糖質量の緩急をつけ、体が慣れて代謝が落ちにくいようにする。
少なくとも理論的には、カーボサイクルダイエットは、合理的に痩せやすい方法だ。
競技レベルの大幅なバルクアップは体重を増やしながらでないと難しいが、一般人のダイエットレベルであれば、筋肉量を増やしながら、同時に体脂肪を落としていくことができるだろう。
カーボサイクルダイエットのデメリット
カーボサイクルダイエットのデメリットは
- 空腹や疲労を感じやすい
- サイクルと日常生活との兼ね合いが難しい
- 運動しない人にはメリットが少ない
こと。
空腹や疲労を感じやすい
カーボサイクルダイエットは、お腹が空きやすい!
糖質を多く入れる日と、糖質をほとんど入れない日を繰り返すと、糖質を入れない日(ローカーボデイ)に空腹感や倦怠感を感じやすくなるのだ。
空腹感は、血糖値の上下に左右されやすい。
「糖質制限ダイエット」のようにずっと糖質を減らす場合、血糖値は安定するので、慣れるまでは強い空腹を感じるが、慣れるとむしろ、あまりお腹が空かなくなってくる。
一方で、「カーボサイクル」は、意図的に「慣らさない」がゆえに、空腹感や倦怠感を感じることが多くなる。
これは一長一短で、体を停滞期に入らせないために「慣らさない」のだが、それゆえに、空腹感を感じやすいのだ。
イメージとしては、糖質制限の最初の苦しみを小刻みに味わう感じだ。
ただ、「ローカーボデイ」のすぐ次の日には糖質をたくさん摂ることができるので、肉体的には空腹感を感じても、精神的にはそこまでツラくないかもしれない。
サイクルと日常生活との兼ね合いが難しい
仕事をしている社会人であれば、自分で設定した「カーボサイクル」と「仕事の忙しいタイミング」が、重なってしまうこともあるだろう。
例えば、「ローカーボデイ」と「仕事がすごく忙しい日」が重なるとかなりキツいし、ダイエット崩壊の原因になりやすい。
また、練習や試合の日程などを自分で決められるわけでないスポーツ競技も、サイクルが噛み合わなくなるリスクはある。
カーボサイクルは、サイクルをそこまで厳密に守らなければいけないわけではないので、臨機応変に対応する必要がある。
ただ、時間などの融通がある程度は効く人でないと、仕事などのストレスによって破綻しやすいカーボサイクルダイエットは、おすすめできないかもしれない。
運動しない人にはメリットが少ない
「カーボサイクル」は、「ハイカーボデイ」に高負荷のトレーニングをすることがミソになる。
そのため、「ダイエットに運動を取り入れるつもりがない」人は、あえてカーボサイクルダイエットを選ぶメリットが少ないだろう。
カーボサイクルダイエットはどんな人におすすめ?
「カーボサイクルダイエット」は
- 高強度の運動をダイエットに取り入れる人
- ダイエットのために使える時間的・精神的なリソースがそれなりにある人
におすすめだ。
自分で決めた「サイクル」を守り、「ハイカーボデイ」にがっつり運動できる人にとっては、安定して脂肪を落としていきやすい方法だ。
「ガッツリ運動して、ガッツリ体重を減らしていきたい」人におすすめのダイエット法。
一方で、「代謝が落ちてきたからチートデイ」というカタルシスがなく、わりと窮屈な食事と運動のサイクルを守る必要があるので、人を選ぶ方法ではあるかもしれない。
以上、「カーボサイクルダイエット」について解説してきた。
当サイトでは、他にも、ダイエット関連の記事をいろいろと書いているので、よければ以下も参考にしていってほしい。


