世の中には色んなダイエット方法があるが、「糖質制限」と「脂質制限」のどちらが良いのか?について、ちゃんと知りたい人は多いと思う。
ここでは、「糖質制限」と「脂質制限」の、それぞれのメリット・デメリットについて解説し、「どの場合にどちらをやるといいのか?」や「両方を交互にやる方法」をまとめる。
なお
- 「糖質制限(ローカーボ)」 ……「糖質」の量を減らすダイエット法
- 「脂質制限(ローファット)」 ……「脂質」の量を減らすダイエット法
と定義している。
目次
「糖質制限」と「脂質制限」のどちらかを選ぶと良いという話
まず、なぜ「糖質制限」と「脂質制限」という言葉が、これほど言われるようになったかについて解説する。
実は、糖質と脂質の両方を減らして「カロリー制限」をするよりも、どちらかを極端に減らしたほうが痩せやすい。
別の言い方をすると、「糖質か脂質の、どちらか片方をちゃんと摂ったほうがいい」のだ。
「糖質」か「脂質」は、主に体を動かすエネルギー源であり、足りなかった場合、筋肉が分解されてエネルギーになってしまう。筋肉量が減ると代謝が落ちるので、ダイエットが難しくなっていく。
糖質と脂質の両方を中途半端に減らすよりも、「どちらかをちゃんと摂って、どちらかを減らす」ほうが、筋肉が分解されにくく、代謝が落ちにくいので痩せやすいという理屈。
もちろん、ダイエットをする上で、カロリー制限をしなくていいわけではない。
「どちらかをしっかり摂った上で、カロリー制限をする」ことが効果的なのだ。
- 「糖質制限」……「脂質」を十分に摂りながら、「糖質」を減らすことで、カロリー制限をする
- 「脂質制限」……「糖質」を十分に摂りながら、「脂質」を減らすことで、カロリー制限をする
となる。
なお、「糖質制限」であれ「脂質制限」であれ、十分な量の「タンパク質」を摂取することは前提。
一般人のダイエットレベルでは、それほど厳密なカロリー計算をする必要がないが、参考程度に例を出すと
- 自分の1日の「消費カロリー」を計算する
- 「消費カロリー」から「500kcal」引いたものを「摂取カロリー」とする
- 「自分の体重1kg × 1.0~1.5g」の「タンパク質」を必ず確保する。
- 「糖質」か「脂質」の、どちらかを多く、どちらかを少なくして、「摂取カロリー」内に収める
というやり方が、ダイエットとしては効果的。
「1日マイナス500kcal」を続けると1ヶ月で2キロほど落ちる計算になる。
では、「糖質制限」と「脂質制限」のどちらがおすすめなのか、それぞれのメリットとデメリットを述べていく。
「糖質制限」のメリット
糖質制限のメリットは、「空腹感を感じにくい」こと。
糖質制限食は、「短期的な満足感」で言えば、物足りなさを感じやすいが、「長期的な満腹感」で言えば、腹持ちが良く、空腹を感じにくい傾向がある。
「タンパク質」と「脂質」は満腹中枢を刺激するので、強い空腹感を感じることはあまりない。
「食後に物足りなさを感じやすいが、日常的に空腹感を感じることがない」のが、糖質制限ダイエットの特徴だ。
そのため、糖質制限ダイエットは、健康的に続けやすく、万人におすすめできる方法だ。
そもそも、人間の体は日常的に大量の糖質を摂る食生活に適したものではないので、「糖質制限食」こそが、本来あるべき食事内容と言うこともできる。
糖質の多い穀類は、「安く大量生産できて、おいしい」という理由で出回っているが、健康面で優れたものではない。現代人の多くは「糖質過多」の状況で、「むしろ糖質制限をするくらいが丁度よい」のだ。
「糖質制限」のデメリット
糖質制限のデメリットとして
- 特定の不調のリスク
- 食費が高くなりやすい
- 高負荷の運動をしにくい
がある。これは、決定的なデメリットというより、注意すれば問題ではなくなるものなので、その対応策も解説していく。
特定の不調のリスク
糖質制限食で起こりがちな不調は
- 腸内環境の悪化
- 脂質のバランスの偏り
だ。
これは、食生活を意識することで防ぐことができる。
炭水化物(穀物)は、なんだかんだで食物繊維が豊富なので、糖質を減らしてタンパク質や脂質の量を増やすと、腸内環境が悪化しやすい。
これについては、野菜、海藻、ナッツなど、食物繊維が豊富な食品を意識的に食べることで解決できる。
次に、「脂質のバランスの偏り」だが、動物性の脂質を多く摂りすぎると、脂質のバランスが崩れて、動脈硬化などのリスクが上がる。
これについては
- 魚介類、クルミ、チアシードなど「オメガ3脂肪酸」を積極的に摂る
- オリーブオイル、アボカド、アーモンドなど「オメガ9脂肪酸」で代用する
によって対処可能。
脂質のバランスについて詳しくは「良い脂質とは何か?オメガ3を含む食品と健康に良い根拠」を参考にしてほしい。

食費が高くなりやすい
「お金がかかる」ことも、糖質制限のデメリットと言うべきかもしれない。
穀物(メインの炭水化物)は価格が安いので、食事における穀物の比率を減らせば、食費は高くなりやすい。
また、上で述べたように、糖質制限中は、食物繊維が豊富な野菜やナッツ類などを意識して摂ったほうがよく、それも食費が上がる原因になる。
とはいえ、「鶏卵」「大豆製品」「乳製品」などは、そこまで高いわけではないので、それらをメインに据えて工夫すれば、糖質制限食でも節約ができないわけではない。
高負荷の運動をしにくい
脳は、糖(ブドウ糖)しかエネルギー源とすることができない。
また、運動代謝で主に使われるのも「糖」だ。
ただ、糖質をまったく摂らなかったとしても、脳が働かなくなったり、運動ができなくなったりするわけではない。
人間の体には「糖新生」という機能があり、脂質やタンパク質から、糖質を生み出すことができる。
しかし、激しい運動であるほど、糖質を摂取しなければパフォーマンスが落ちやすくなる。
「短時間に多くのエネルギーを使う系」は、すぐエネルギーになる糖質を入れないとキツい。
将棋やeスポーツのような頭の使い方をする場合や、スポーツでパフォーマンスを発揮したい場合は、「炭水化物」を多く摂る必要がある。
そのため、アスリートには糖質制限が向いていない。減量しなければならないスポーツ選手が「脂質制限ダイエット」のほうを選ぶことが多いのはそのためだ。
とはいえ、あくまで高負荷の頭脳労働や運動の場合であり、日常の仕事や、適度な運動であれば、糖質制限でもまったく問題ない。
普段の仕事をする上なら、「糖質制限」は、血糖値が安定して眠気がなくなったり、集中力が続きやすいなど、むしろメリットのほうが上回る場合も多い。
「短時間に多くのエネルギーを使う仕事」でない限り、そこまでパフォーマンスの低下を恐れなくていいだろう。
以上、「糖質制限」のメリットとデメリットを解説してきた。次からは、「脂質制限(ローファット)」について解説していく。
「脂質制限」のメリット
脂質制限のメリットは、パフォーマンスが落ちにくいことだ。
- 激しく頭脳を使う
- 激しく運動する
といった場合、糖質を十分に摂っているほうが、パフォーマンスが落ちにくい。
「スポーツ」や「勉強」などが忙しいとき、パフォーマンスを落とすリスクが少ないダイエット方法が「脂質制限」だ。
特に、「運動を積極的に取り入れて痩せたい」のであれば、「脂質制限」がおすすめ!
「タンパク質」と「糖質」を一緒に摂ると筋肉がつきやすいので、運動との組み合わせで健康的に体を絞っていきやすい。
また、「糖質制限」と比べて、食費が安くなりやすいのもメリット。
「脂質制限」のデメリット
「脂質制限」のデメリットは、「糖質制限」と比べて、「空腹を感じやすい」こと。
糖質を多く摂れるので、「短期的な満腹感」はけっこう高いが、糖質によって血糖値が上下するので、空腹感を感じやすい。
やってみるとわかるが、「糖質を多めに摂る」+「カロリー制限」の組み合わせは、けっこうお腹が空いてしまうので、我慢しなければならない。
加えて、脂質を制限する食事は、制約が大きい。
「糖質制限」が色んなものを食べやすいのに対して、「脂質制限」は、脂質の少ないさっぱりしたものが中心になり、食事内容がストイックになりがち。長期間続けるのはキツいかもしれない。
もっとも、「食の満足感」の感じ方は人それぞれだ。「糖質制限」と「脂質制限」のどちらが合っているかは、「糖質少なめの食事」と「脂質が少なめの食事」のどちらが好みか、にも左右される。
「糖質制限」と「脂質制限」どちらがおすすめ?
「糖質制限」と「脂質制限」のどちらがおすすめか?
それはもちろん人による。
どんな人には「糖質制限」がおすすめで、どんな人には「脂質制限」がおすすめか、を簡単にまとめる。
「糖質制限」が向いている人
POINT
- 無理のない範囲でダイエットを続けたい
- 高負荷・長時間の運動よりも、適度な運動を続けたい
- 健康的な食生活のために、ある程度のお金をかけることができる
- 量は我慢しても、おいしい食事を楽しみながら痩せたい
- 「短期的には物足りなさを感じるが、長期的にはお腹が空きにくい」を選ぶ
「脂質制限」が向いている人
POINT
- 積極的に運動を取り入れながら痩せたい
- スポーツや勉強のパフォーマンスを落とすリスクを避けたい
- 食費を節約しながらダイエットしたい
- 脂質の少ないストイックな食事でも我慢できる
- 「短期的には満腹感を感じるが、長期的にはお腹が空きやすい」を選ぶ
ちなみに、「痩せるスピード」は、「糖質制限」でも「脂質制限」でも、特に違いはない。
基本的に、1日に「−500kcal」なら、1ヶ月で「−2kg」のペースで減っていく。
「糖質制限」を始めると、急に体重が落ちることがあるが、それは主に「体内に蓄えられた炭水化物と結びついた水分」が排出されることによって起こる。体脂肪が減っているわけではないので、一喜一憂しないことが大事。
このメカニズムについては「ダイエットの基礎知識まとめ」で解説している。

「痩せる速度」は、主に「摂取カロリー」と「消費カロリー」の差によって決まるので、早く痩せたいのならば、より摂取カロリーを少なく、より消費カロリーを多くするといい。
その上で
- 「摂取カロリー」を減らして痩せたいなら「糖質制限」のほうが良い
- 「消費カロリー」を増やして痩せたいなら「脂質制限」のほうが良い
傾向はある。
ただ、基本的には、「−500kcal」ほどを目安にするのがいい。
過度にカロリーを減らしても、体に負担がかかるし、「停滞期」も早くやってきやすい。
「糖質制限」と「脂質制限」を交互にやると良い理由
「糖質制限」と「脂質制限」は、ふたつを交互に行うのもアリだ。
なぜなら、同じダイエット法を続けると、代謝が下がって「停滞期」が来るから。
人体には「ホメオスタシス(恒常性)」があり、急な変化に対して、防衛機能が働く。
ダイエットで体重が落ちていくと、人体は危機感を感じ、状況に適応して、効率的にエネルギーを使う体を作り上げる。これは飢餓から生き残るための仕組みなのだが、ダイエットには障害になる。
これに対して有効なのが、「ダイエット法の切り換え」。
特に、「糖質制限」と「脂質制限」を交互に切り換えるやり方が、もっともシンプルかつ効果的。
「少ない糖質、十分な脂質」に適応する体になっている場合、「十分な糖質、少ない脂質」に切り換えると、体がエネルギーを効率的に使えなくなり、体重がスムーズに落ちていきやすい。
- 「糖質制限」で停滞期に入ったら、「脂質制限」に切り換える
- 「脂質制限」で停滞期に入ったら、「糖質制限」に切り換える
このふたつを切り換えながらやっていくと、体が適応して「停滞期」に入り切らないまま、体重を順調に落としていきやすい。
ダイエット法の切り換えは、食事内容や生活リズムなどを変える必要があるので、それなりにストレスがかかる。
だが、痩せたい人には、とても有効な方法だ。
ダイエット法の切り換えが難しければ、同じダイエット方法を続けながら、代謝が落ちてきたときに「チートデイ」を入れるという方法もある。
ダイエット法の切り換えは、やってみると意外と大変だが、痩せやすいことは間違いない。
やる気のある人は、「糖質制限」と「脂質制限」を交互に繰り返すダイエットに挑戦してみるのもいいかもしれない。
「糖質制限」と「脂質制限」とで「どちらが優れているか?」という考え方ではなく、同じダイエット方法を続けると停滞期が来るので、「体を慣れさせないためにダイエット法を切り換える」という考え方を知っておくといいだろう。
以上、「糖質制限」と「脂質制限」について解説してきた。
「糖質制限」と「脂質制限」の両方を交互にやる方法についても解説してきたが、1日ごとに「糖質制限」と「脂質制限」のサイクルを組む「カーボサイクルダイエット」という方法もあるので、詳しく知りたければ以下も参考。

当サイトでは、「ダイエット記事」や「メンズ美容記事」などを書いているので、興味のある方は以下の記事も見ていってほしい。


