腸内環境を整えることは、日々のパフォーマンスや美容など、様々な面において重要だ。
腸内環境を改善するために、「食物繊維を食べろ」とか「発酵食品を食べろ」とかよく言われるけど、「ちゃんと理屈を知りたい」人は多いと思う。
腸内環境についてよくある解説は、「説明が適当なもの」や「まともな内容だけど内容が難しすぎるもの」が多い。
ここでは、なるべくわかりやすくシンプルな説明で、「どういう理屈で腸内環境が良くなるのか?」を解説したい。
その上で、「どうすれば快便になるのか?」の具体的なロードマップを示したい。
腸内環境は、メンタルや肌の調子にも影響を与えるので、何が自分の腸に良いのかは、ちゃんと知っておいて損はない。
誰でも短い時間で読めるように工夫して書いたので、ぜひ最後まで目を通していってほしい。
食物繊維の種類!「水溶性」と「不溶性」の摂り方
お腹に良いとされる「食物繊維」には、おおまかに「水溶性」と「不溶性」の2種類がある。
- 「水溶性食物繊維」……水に溶けやすく、「ヌルヌル系」のものと「サラサラ系」のものがある
- 「不溶性食物繊維」……水に溶けにくく、「繊維」のような形のあるもの
水溶性食物繊維の特徴
「水に溶けやすい」食物繊維のこと。
- 「ヌルヌル」するので便を柔らかくする
- 「粘性」があるので糖質の吸収を穏やかにする
- コレステロールなどに「吸着」して体外に排出する
よくある「ダイエット系の飲料」には、「水溶性食物繊維」が混ざっている。
「難消化性デキストリン」などの「水溶性食物繊維」は、水に溶けて液体になる。
不溶性食物繊維の特徴
「水に溶けにくい」食物繊維のこと。
- 便を「かさ増し」して、排便をスムーズにする
- 水分を「吸収して膨らむ」ので、満腹感を増やす
- 「固さ」があるので、噛みごたえを増やす
一般的な「繊維」のイメージに近いのが「不溶性食物繊維」。
「水溶性」と「不溶性」のどちらを摂るべきか?
「水溶性」と「不溶性」の両方に言えることとして、どちらも腸内細菌の餌になり、腸内環境を改善する。
ただ、「水溶性」は「柔らかくする作用」で、「不溶性」は「カサを増やす作用」がある。
使い分けを意識するなら
- 便が固くて困っている(便秘ぎみ) → 水溶性を多めに摂る
- 便が柔らかくて困っている(下痢ぎみ)→ 不溶性を多めに摂る
と考えよう。
どの食物繊維がどの食品に多いの?
「水溶性」と「不溶性」の食物繊維は、それぞれ、どんな食品に多く含まれているのか?
まず、ほとんどの食品には「水溶性」と「不溶性」の両方の食物繊維が含まれている。
比較的「水溶性食物繊維」が多い食品は
- りんご
- 大根
- なめこ
- わかめ
- オートミール
など。
比較的「不溶性食物繊維」が多い食品は
- バナナ
- ナッツ類
- キャベツ
- ブロッコリー
- えのき
など。
それぞれの食品について詳しくは、「食品の「食物繊維」含有量の一覧表!水溶性と不溶性の比率も載せる」という別の記事で、詳しく比率などまとめているので、それを参考にしてほしい。

ちなみに、「きのこ類」は不溶性食物繊維が多い……といった説明は間違っている。
なぜなら、同じ「きのこ類」でも、「なめこ」は水溶性が多いし、「えのき」は不溶性が多いから。
おおまかに
- ヌルヌルしたもの、水っぽいもの →「水溶性」の比率が高め
- パサパサしたもの、繊維っぽいもの→「不溶性」の比率が高め
というイメージで考えると、それほど大きくは間違えない。
「発酵食品(乳酸菌)」が腸内環境に良い理由
ヨーグルト、キムチ、納豆、味噌、酢、漬物などの発酵食品は、整腸作用があるとされている。
これはどういう理屈なのだろうか?
「ヨーグルト」を例に説明する。
- 牛乳の中には「乳糖」という糖質がある。
- 「乳酸菌」という細菌は「乳糖」を「乳酸」に変えながら繁殖する。
- 「乳酸」が「乳酸」になると、味に酸味が加わり、牛乳に含まれるカゼインが酸によって凝固する性質を持つので個体になる。
以上が、牛乳がヨーグルトになる仕組み。
ヨーグルトの中には「乳酸菌」がいるのだが、これを腸に取り込むと、「乳酸菌」は腸内の糖を「乳酸」に変える。
実は腸内環境は、「酸性」に傾いたほうが、悪玉菌が繁殖しにくく、善玉菌が有利になる。
そのため、腸内で乳酸菌が「乳酸」を作ってくれると、腸内が酸性になるので、腸内環境が良くなりやすい。
また、バナナや大豆などに多く含まれる「オリゴ糖」は、腸内で乳酸菌のエサになりやすいタイプの糖質なので、整腸作用があるとされる。
乳酸菌が含まれるヨーグルトと、オリゴ糖が含まれるバナナを一緒に食べるのが良いとされるのは、そういう理屈なのだ。
ちなみに、「酢」や「梅干し」などの酸っぱい系のものも、整腸作用が高いとされる。酸っぱいものを食べればそのまま腸内が酸性になるわけではないのだが、たいていの酸っぱい食品には腸内を酸性にする菌が含まれる。
まとめると、腸内は「酸性」になったほうが善玉菌が有利になるので
POINT
- 「乳酸」を作り出す「乳酸菌」
- 「乳酸菌」のエサになりやすい「オリゴ糖」
- 「酸っぱい」食べ物
を摂取すると、腸内環境の改善に繋がりやすい。
なお、乳酸菌は腸内に長く住み着くことができるわけではないので、定期的に摂らなければならない。
ただ、じゃあ乳酸菌を摂らないと腸内環境が壊滅するのかというと、そういうわけではない。
もともと人間の腸内には「ビフィズス菌」という乳酸菌の上位互換みたいなのが存在する。
ビフィズス菌は「乳酸」だけでなく「酢酸」を作って、腸内環境を整えていく。
ただ、ビフィズス菌は、加齢によって数を減らしていくので、食品からも摂取することが推奨されている。
最近では「ビフィズス菌」が入っているヨーグルトも多いが、おすすめしたいのは「ビオフェルミン」。
変な乳酸菌のサプリとかがよく売られているけど、広告が上手なだけで対して効果はないと思う。
大正製薬のビオフェルミンは、高い整腸効果のエビデンスがしっかりあるものなので、変にケチらないで正規品を買うことをおすすめする。
タンパク質は重要だが、腸内環境にはマイナス
「タンパク質」は、美容やダイエットにおいて重要な栄養素だ。
糖質や脂質を減らして、タンパク質の量を増やしていくことが、ダイエット食の基本になる。
しかし、タンパク質には「腸内環境が悪化しやすい」というデメリットもある。
十分に消化しきれなかったタンパク質は、悪玉菌の餌になり、硫黄のような臭いの硫化水素が発生する。「オナラが臭い」と感じるなら、摂りすぎたタンパク質が十分に消化できていない可能性を疑ったほうがいいだろう。
タンパク質は、美容や健康にとってプラスになる栄養素なのだが、タンパク質を処理しきれずに腸内環境が悪化してしまうと、肌荒れや不調の原因になってしまう。
最近では、プロテイン粉末など、なにかとタンパク質の摂取が重視されるし、それは間違ったことではない。
ただ、お腹の調子が悪くなるのであれば、タンパク質の摂取量を減らすことも検討するべきた。
というより、「タンパク質を多めに摂取しながら、快便である状態」が、美容やダイエットにおける理想の食事になる。
そのためには、「食物繊維、オリゴ糖、発酵食品」などの整腸作用のあるものを、正しく摂取する必要がある。
具体的な腸活ガイド!腸活環境を改善していく方法
具体的にどうすればいいのか、実践編に入る。
まずは快便かどうかで考える
「こうすると腸に良い」という情報は、世の中にあふれている。ただ、腸内環境は、個人差がけっこうある。
胃腸に良いと言われることの多い、「ヨーグルト、納豆、芋」なども、人によっては調子が悪くなる場合がある。
「こうすれば良いと誰かが言っていたから」ではなく、「自分が快便かどうか?」を基準に考えるようにすることが、まずは大事だ。
「サプリメントは本当に効果があるの?」みたいなことは、効果が微小すぎて検証が難しいが、「自分の便がどうか?」は、わかりやすいフィードバックなので、自分自身で検証することができる。
「腸には個人差があるので、情報を鵜呑みにするのではなく、自分の便(フィードバック)を見て改善していく」という意識が大事。
快便の場合
まず、毎日快便なのであれば、特に問題はない。
頑張って腸活する必要はない。そのままの食生活を続ければいい。
ただ
- 便秘が続く。お腹が張っている感じがある。
- 下痢っぽい。お腹が痛むことがたまにある。
- オナラがたくさん出る。オナラが臭い。
と感じている場合、「腸活」によって腸内環境を改善していくのが良い。
便秘っぽい場合
単純に便が出にくいのなら、「水溶性食物繊維」を多めに摂ることを意識する。
便秘に加えて、お腹が張るような感じがしたり、オナラが臭いと感じるなら、「発酵食品」と「オリゴ糖」を摂取するようにする。
それでもまだ調子が悪いなら、タンパク質の摂取量を減らしてみる。
下痢っぽい場合
変なものを食べていないか疑ってみる。
辛いものなど、特定のタイプ食品の偏りを避けて、バランスの良い食事を心がける。
「食物繊維」自体を過剰摂取している場合もある。食物繊維は、腸内環境を整えるが、摂りすぎるとお腹がゆるくなる原因になる。
ダイエット系のお茶に含まれている「難消化性デキストリン(人工の水溶性食物繊維)」などを多く摂ると、お腹がゆるくなることはよくある。
「ナッツ」や「サラダ」など、「不溶性食物繊維」を多めに食べることを意識すると良い。
オナラがよく出る、オナラが臭い場合
「タンパク質の過剰摂取」の場合が多いので、「食物繊維」「オリゴ糖」「発酵食品」など腸に良いものの摂取量を増やした上で、それでもダメなら、「タンパク質」の摂取量を控える。
「自分の腸に合わないもの」を食べている場合もある。小麦、納豆、牛乳など、普段から食べているものを、お腹の調子を意識しながら、抜いてみたり、多めに摂取してみたりして、何が原因か調べる。
「味は好きでも、自分の胃腸にとっては悪い」という食べ物は普通に存在する。受け入れがたい事実に思えるかもしれないが、調子環境のためには、しっかり検証しよう。
頑張って腸活してもずっと調子が悪い場合、慢性的な努力で解決できない不調の場合があるので、胃腸科などに行って相談してみよう。
「よくわかんない」という人の場合
難しいことはよくわからないという人向けに、「これを食べるといいよ」というものを紹介する。
- 「りんご」か「キウイ」
- 「オートミール」
- 「じゃがいも、さつまいも」などの芋類
- 「大根、人参、ごぼう」などの根菜
で「食物繊維」を摂取する。
- 「バナナ」
- 「豆腐」などの大豆製品
で「オリゴ糖」を摂取する。
- 「ヨーグルト、キムチ、納豆」などの発酵食品
- ビオフェルミン
で「有用菌」を摂取する。
「自分の胃腸を意識するなんて面倒くさい」という人は、とりあえず上のことを意識しておけば、腸内環境が改善しやすい。
以上、「腸活環境を改善する具体的な方法」について解説してきた。
当サイトでは、「食物繊維」や「タンパク質」を多く含む食品一覧といった記事も書いているので、栄養素などに興味のある人は参考にしていってほしい。

